噴火が起こした津波、江戸時代には1万5000人の死者も 地震と違い予測困難

2022年1月16日 20時26分
転覆した小型船=三重県尾鷲市で

転覆した小型船=三重県尾鷲市で

 火山噴火が津波を起こした例は過去にもある。だが、噴火後の津波に気象庁が警報・注意報で対応する事態は初めて。計算上予想される時刻より3時間ほど早く潮位変化が現れ、洋上の通過点では小さな津波が日本到達時に1メートル前後まで増幅する予想外の展開に、同庁は16日午後の会見でも「潮位変化が津波かどうか、まだ不明」と、慎重な言い回しに終始した。
 火山噴火に伴う津波の代表例は1792年、雲仙岳(長崎県)で起きた。東部の眉山まゆやまが崩壊し、土砂が島原から有明海に落ちて大津波が発生。対岸の熊本側も含め死者1万5000人を数え「島原大変肥後ひご迷惑」の言葉を生んだ。桜島(鹿児島県)も1779〜82年の大噴火は海底噴火を伴い、81年4月の津波で死者・行方不明者が15人出た。
 海外では、1883年のクラカタウ島(インドネシア)の巨大噴火が知られる。火山島の大爆発で波高20メートルの大津波が起き、3万6000人が犠牲となった。
 気象庁は海域で起きうる膨大な数の地震と津波の発生パターンを事前想定し、データベース化。実際の地震発生時に、観測値と事前想定から津波を予測する。噴火に伴う津波は、地震の断層運動による海底の上下動のような計算ができず、予測が難しいとされる。
 今回、気象庁はトンガから比較的近い洋上の観測点でも潮位変化が小さいことから、日本では若干の海面変動はあっても被害の心配はないと15日夜に発表。同日深夜に奄美大島で1.2メートルの津波を観測後、追いかけるように津波警報・注意報を各地に出した。
 地震津波監視課の束田進也課長は「今回、特異な潮位変動をとっさに伝える手法がなく、今後より良い伝え方を検討する」と話す。
 吉田明夫・静岡大客員教授(地震学)は「断層運動ではないが、海底地形の変形に起因するものなので、津波と言っていい」と指摘している。(宇佐見昭彦)

関連キーワード


おすすめ情報