今年すでに4回 北朝鮮が多様なミサイル発射実験 故金正日総書記の誕生80年控え、住民結束狙う?

2022年1月17日 20時56分
南北軍事境界線に位置する板門店で向き合う北朝鮮兵士(奥3人)と韓国軍兵士。奥は北朝鮮の建物

南北軍事境界線に位置する板門店で向き合う北朝鮮兵士(奥3人)と韓国軍兵士。奥は北朝鮮の建物

 【ソウル=相坂穣】韓国軍合同参謀本部は17日、北朝鮮が午前8時50分ごろ、平壌ピョンヤン順安スナン飛行場付近から日本海に向け、短距離弾道ミサイルと推定される飛翔体2発を発射したと発表した。最高高度42キロで、約380キロ飛行した。北朝鮮のミサイル発射は今年4回目。多様なミサイル技術の向上を図るとともに、米国をけん制する狙いがあるとみられる。
 日本の防衛省は、17日午前8時49分と52分に弾道ミサイルが発射され、高度50キロで、約300キロを飛行し、排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定。岸信夫防衛相は「弾道ミサイル発射は安保理決議に違反するもので、強く非難する」と述べた。
 北朝鮮は5、11日に北部慈江道チャガンドから、「極超音速ミサイル」と称する弾道ミサイルを発射。14日に北西部平安北道ピョンヤンプクト義州ウィジュから、ロシア製短距離ミサイル「イスカンデル」の北朝鮮版とされる「KN23」2発を列車上から発射していた。
 聯合ニュースは、17日に発射されたミサイルが飛行特性などから、KN23の可能性があると報じた。
 朝鮮中央通信は11日の発射について、昨年1月に策定した兵器開発5カ年計画で重要課題に挙げた極超音速ミサイルの最終試験が「成功した」と報道。金正恩キムジョンウン総書記が「国の戦略的な軍事力を質量とも持続的に強化する」と強調した。

◆「米韓が非核化を要求できない状況」づくり?

 北朝鮮が17日朝、今年に入って4回目のミサイル発射を強行した。米国は国連安全保障理事会での対北朝鮮制裁強化を求めるが、中国やロシアは引き続き反対するとみられ、韓国では今後も軍事挑発が繰り返されるとの懸念が広がっている。
 北朝鮮の相次ぐミサイル発射の意図を、梨花女子大の朴元坤パクウォンゴン教授は「米韓の防御体制を無力化させるミサイルを大量生産、実戦配備し、米韓が非核化を要求できない状況をつくろうとしている」と分析する。
 米中間選挙を11月に控え、バイデン政権の支持率が低迷する中、「関係する中国企業や銀行へも影響が及ぶ北朝鮮への追加の独自制裁を決断するのは、米中対立が深まり、政治的負担が大きい」と指摘。「北朝鮮を抑える手段は多くない」とした。
 北韓大学院大の梁茂進ヤンムジン教授は、集中的なミサイル発射は「北朝鮮政策の変更を求め、米韓を圧迫する意図が強い」と分析。2月4日から開催される北京冬季5輪の期間中は、ミサイルの発射を自制すると予想した。2月には故金正日キムジョンイル総書記の生誕80年も控え「住民の結束を図り、平和攻勢に転じる可能性も排除しない」と話した。
 約2週間で4回ものミサイル発射を強行したことについて、北韓大学院大の金東葉キムドンヨプ教授は「これからも(挑発が)続くだろう」と言う。文在寅ムンジェイン大統領が呼び掛けている朝鮮戦争の終戦宣言に関し、「1つはっきりしたのは、文政権の間は(進展は)ないということ」と悲観的な見方を示した。
 韓国政府は17日、4回目のミサイル発射を受け、国家安全保障会議(NSC)を緊急開催。会議では朝鮮半島情勢のこれ以上の悪化を防ぐため「対話の早期開始が重要」との意見が強調されたという。

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