岸田首相、新型コロナ対策「メリハリつけて」 オミクロン株の重症化率低い可能性踏まえ 初の施政方針演説

2022年1月17日 14時46分
衆院本会議で就任後初めての施政方針演説をする岸田首相

衆院本会議で就任後初めての施政方針演説をする岸田首相

 第208通常国会が17日召集され、岸田文雄首相は就任後初めての施政方針演説を衆院の本会議で行った。新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の急速な感染拡大に危機感を示し、医療逼迫ひっぱくを避けるための体制強化を訴えた。改憲については、国民の機運醸成に向け、「積極的な議論が行われることを期待する」と述べた。(川田篤志)
 首相は新型コロナ対応を巡り、重症化率が低い可能性を指摘されるオミクロン株の特性を考慮して「メリハリをつけて対策を講じる」と強調。即応病床の確保や自宅・宿泊療養体制の強化のほか、科学的知見に基づく入退院基準の検討などを通じて、重症者らへの的確な医療提供が維持できるよう取り組む考えを示した。負担が増す保健所の業務合理化なども打ち出した。
 3回目のワクチン接種は3月以降、2回目からの間隔を高齢者で6カ月、64歳以下で少なくとも7カ月に短縮。12歳未満への接種対象拡大は「手続きを進める」と説明した。

◆日米地位協定見直しには触れず

 在日米軍基地の感染症対策を巡っては、米側と「しっかり議論していく」と訴えたが、日米地位協定の見直しには触れなかった。
 核軍縮の進展を目指し、自身が第2次安倍政権の外相時代に設置した有識者による「賢人会議」の議論を発展させるため、各国の政治リーダー経験者らでつくる「国際賢人会議」の創設を表明。今年中に被爆地の広島で初会合を開催すると明言した。
 安全保障分野では、年明けから相次ぐ北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難。年末までをめどとする国家安全保障戦略の初改定にあたり、相手国領域内でミサイルを阻止する「敵基地攻撃能力」の保有を含めた「あらゆる選択肢を現実的に検討する」と改めて主張した。米軍普天間ふてんま飛行場(沖縄県宜野湾ぎのわん市)の移設に伴う名護市辺野古へのこの新基地建設は「移設工事を進める」と重ねて意欲を示した。
 国土交通省による建設受注統計の書き換え問題については「国民におわびする」と陳謝し、政府統計の信頼回復を図る姿勢を示した。
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◆<記者解説>政府に不都合な事実も説明を

 岸田文雄首相の施政方針演説は、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の猛威を踏まえ、「万全」の備えを強調する内容だ。医療提供体制の強化や、3回目のワクチン接種時期の前倒しなどの取り組みを列挙し、「最新の知見に基づく対応を冷静に進める覚悟だ」と訴える。
 40日ほど前に臨時国会で所信表明演説を行った際は、政府の需要喚起策「Go To キャンペーン」実施をはじめ「通常に近い経済社会活動の再開」に意欲を示した。今回、言及しないのは、感染拡大抑止を重視する局面に入ったと認識しているからだろう。
 首相が「G7(先進7カ国)で最も厳しい」と胸を張る水際対策を講じながら、なぜオミクロン株は短期間にこれほど広がったのか。その原因を考える時、ずさんな感染対策が発覚した在日米軍の存在や、軍関係者の特権的な取り扱いを定める日米地位協定の問題を無視できないはずだ。
 ところが、首相は米軍が夜間外出禁止など日本側の要請を受け入れたという「成果」のアピールはするが、地位協定の弊害には向き合おうとしない。現状を招いた背景に目を向け、政府にとって不都合な事実でも説明を尽くす誠実さを欠けば、自身が掲げる「信頼と共感の政治」の実現はおぼつかない。(生島章弘)

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