<論戦ファクトチェック>年金積立金 「運用益民主の10倍」首相説明

2019年6月25日 02時00分
 安倍晋三首相は先週の党首討論で、年金財源の一つである年金積立金について、安倍政権での運用益は約四十四兆円に上り「民主党政権時代の約十倍」だと強調した。しかし、首相が安倍政権と民主党政権を違う計算方法で比較した結果、民主党の運用益は少なくなっており、安倍政権の実績を「誇張」したといえる。
 第二次安倍政権は二〇一二年十二月二十六日に発足した。一三年一月から一八年十二月までの運用益は約三十九兆円。首相が言及した四十四兆円の運用益には、一二年末の民主党政権から第二次安倍政権への交代期を含む一二年十~十二月の四半期の収益約五兆円が含まれる。首相の政権担当期間は数日にすぎないが、安倍政権の実績に算入した。
 国民年金や厚生年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、四半期ごとに株式投資などの運用実績を公表している。
 安倍政権同様、政権交代があった四半期の収益を運用益の合計に算入する方法で計算すれば、民主党時代の運用益は約十兆円となる。〇九年七~九月期の約一兆円、一二年十~十二月期の約五兆円が加算されるからだ。安倍政権との収益の差は四倍程度になる。しかし、首相は民主党政権の運用益だけは、政権交代期の計約六兆円を除き、約四兆円と算定したようだ。
 首相は十九日の党首討論で運用実績を誇る一方、不都合な事実には言及しなかった。
 GPIFが直近の今年二月に発表した一八年十~十二月期は約十四兆八千億円の損失で、四半期の損失額としては過去最大だった。会計検査院は今年四月に積立金の運用状況について調査結果を公表。GPIFが一四年十月、運用先に占める株式投資の割合を24%から50%に増やしたことに伴う危険性の増大を指摘し「収益が減少するリスクについて国民に丁寧に説明を行っていく必要がある」と促した。
 GPIFによる株式投資の拡大は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」と歩調を合わせるものだ。運用リスクに関する「丁寧な説明」は、首相にも求められる。 (新開浩)
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 七月二十一日投開票が想定される参院選に向けて、各党党首や幹部が論戦を繰り広げる。随時、ファクトチェック(事実確認)する。

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