袋田の滝、今季こそ完全凍結を 現在、2〜3割 「2月上旬までが勝負」

2022年1月18日 07時45分

2、3割の凍結にとどまっている袋田の滝=17日午前11時ごろ、いずれも大子町で

 日本三名瀑(めいばく)の一つ「袋田の滝」(大子町)。1年で最も寒い20日の大寒を前に、ここ10年遠ざかっている滝の完全凍結を今季こそ見られるかが地元の話題になっている。完璧な「氷のカーテン」の出現は観光客の呼び込みにつながり、経済にも貢献するからだ。今のところ最大8割まで凍ったものの、気温や水量によって一進一退。17日、滝の周辺を歩いた。(出来田敬司)
 ザーッ−。
 滝の大パノラマが楽しめる第一観瀑台。パネルの温度表示は〇・四度。岩肌は、氷の連なりに覆われる部分と、水が流れ落ちる部分が、くっきりと縦じま模様を形作っている。
 町振興公社袋田観瀑施設支配人の谷部裕(やべひろし)さん(47)によると、この日の凍結は二、三割程度。「滝は完全に凍ると水の音がしなくなるんです」と残念そうだ。
 滝は高さ百二十メートル、幅七十三メートル。月居山(つきおれさん)付近に端を発した三つの川が合流し、水が四段にわたって落下する。冬の氷瀑(ひょうばく)だけでなく、新緑や紅葉なども楽しめるため、四季を通じて多くの人出でにぎわう。
 だが、完全凍結は地球温暖化の影響もあり、二〇一二年を最後にご無沙汰だ。今月九日には八割程度まで凍ったが、翌日の雨で流されてしまった。
 「今季は一日の寒暖差が激しい。早朝の最低気温は氷点下五、六度と低いが、日中は一〇度近くに上がって氷が溶け、厚みが増していかない」と谷部さん。
 滝に続く川沿いの仲見世通りの各店舗も完全凍結を待ち望んでいる。
 食堂「依田屋」を営む綿引厚子さん(70)は「二月の上旬ぐらいまでが勝負だね。完全に凍ればテレビで報じられて、お客さんも来るわよ」と期待。食堂「新滝」の経営者小室幸嗣(こうじ)さん(52)も「昨年は新型コロナの感染拡大で一月中旬から滝の立ち入りができなくなった。完全凍結すれば、物珍しさでお客さんも来るだろう」と首を長くする。
 一方、観光客からはこんな声も。東京都三鷹市のミュージシャン赤間謙さん(50)は「もちろん完全凍結を期待したが、思っていたより凍っていた。水の音が上下左右から聞こえてとても心地よい。適度に水があるのがいいのかな」。

◆クライマーの姿も

凍結した袋田の滝を登るクライマー。左奥は第一観瀑台=8日午前8時半ごろ

 袋田の滝では、完全凍結こそお預けになっているものの、氷壁の出現を待ち望んでいたアイスクライミング愛好家たちが早くも足を運び、自然が創り出した氷の彫刻にアックスを打ち込みながらよじ登っている。
 取材した8日は、今季で最も凍結した9日の前日。青白い氷面と黒い岩肌がコントラストを描き、春から秋にかけては水しぶきのごう音が響く一帯は静寂に包まれていた。
 50年以上クライミングに通い続けている県山岳会のベテラン小森栄治さん(81)は「通い始めたころは毎年完全凍結していたが、ここ数年は登れない年もあった。やっぱり訪れた人には凍った袋田の滝の美しさを見てほしい」と、氷壁を見下ろしながら話した。(隈崎稔樹)

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