浅草描いた「日本のゴッホ」 画家・長谷川利行 スケッチブック複製紹介 谷中のカフェで展示会

2022年1月19日 07時19分

展示について「長谷川の交友関係や浅草の雰囲気を示す資料として、世に出す意義がある」と語る熊谷明子さん=台東区谷中で

 昭和の初めに上野や浅草など下町を拠点に創作活動を行い、「日本のゴッホ」と評された画家・長谷川利行(一八九一〜一九四〇年)が残したスケッチブックの複製を紹介する展示会「長谷川利行と熊谷登久平 幻のスケッチブック」が、台東区谷中のカフェ「F9(ナイン)」で開かれている。 
 企画したのは長谷川と親交のあった洋画家熊谷登久平(一九〇一〜六八年)の次男寿郎さん(62)の妻で、元足立区立郷土博物館調査員の明子さん(59)。一九二八(昭和三)年ごろに主に浅草を描いたスケッチや散文詩を複製した二十七点と、熊谷の作品三点を展示する。
 カフェで酒を飲む人々、戦後に宮沢賢治研究会を設立した詩人佐藤寛と一緒にサーカスを楽しんだ際に「サスガ ハ 浅草デアル」とメモを添えたスケッチなどが並ぶ。明子さんは「関東大震災(二三年)からの復興途上でにぎわいを取り戻した浅草の雰囲気が伝わってくる」と話す。
 スケッチブックはA5判よりやや小さいサイズで熊谷が所有していた。寿郎さんから遺品として見せられた明子さんが「長谷川の物ではないか」と専門家に調査を依頼し、二〇一九年秋に本物と判明。原本は同博物館に保管されている。
 歴史ある東京美術学校や太平洋画会(現太平洋美術会)研究所があって、熊谷がアトリエを構えた上野の山あたりを、パリの芸術の中心地になぞらえ「谷中のモンパルナス・モンマルトルであった」と評する明子さん。居どころを定めず「放浪の画家」とも呼ばれた長谷川ら芸術家たちの交流についても調べている。「今回の展示が多くの人の目に触れることで関心が高まり、研究の手掛かりが見つかれば」と期待する。
 展示は二月末まで。F9の営業時間は午後一時〜九時。火・水曜定休。(問)カフェ「F9」=電03(6753)1340=へ。(小形佳奈)

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