<社説>トンガ大噴火 得られた知見を教訓に

2022年1月19日 07時45分
 南太平洋・トンガ沖の火山が噴火し、海面上昇は日本にも及んだ。しかし、噴火の衝撃波による潮位変動は経験がなく、地震時のような海底の地殻変動による津波を想定した防災対策では対応が難しい。知見を集め、臨機応変な対応を求めたい。
 十五日の噴火では約二百八十五ヘクタールの島が消滅。それが大量の灰や噴石となり、マグマとともに周辺の島々に降った。噴煙の広がりは直径五百キロに及び、再噴火の恐れも残る。一九九一年のフィリピン・ピナトゥボ火山の大噴火以来の規模で、今世紀に入り最大だ。
 今回の大規模噴火では現地観測網の貧弱さと、情報伝達の遅さが目立った。地震と異なり、噴火では火山性地震などの前兆現象がしばしば見られ、住民が事前に避難する例も多いが、今回はできなかった。被災後も現地の実情は伝わらない。飲料水の供給など人命に直結する支援を急がねばならないが、遅々として進んでいない。
 インドネシアから南太平洋にかけては、地球上で最も地震と火山活動が活発だ。この地域の観測網や情報網の改善には国際的な支援が必要で、日本も経験を生かし、積極的に協力すべきである。
 日本の太平洋側にも海面上昇という形で影響が及んだ。気象庁は当初、日本には被害の心配はないとしていたが、十六日未明になって、津波警報のシステムを用いて避難を呼び掛けた。
 このシステムの想定は東日本大震災のような地震が起こす海底の地殻変動だ。噴火の衝撃波による海面上昇が通常の津波と異なることは分かっていたが、津波警報を受け、テレビ画面には「津波、逃げて」の大文字が映り続けた。
 経験がなく、予測が困難だったとはいえ、結果として混乱につながったことを、気象庁は重く受け止めるべきである。
 トンガの噴火は百以上の活火山がある日本にとって決してひとごとではない。噴火を防ぐ方法はないが、前兆をとらえて早めに避難することや降灰被害を軽減することは不可能ではない。今からでもできる対策を講じておきたい。

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