朝鮮学校の理解深めて 人工芝グラウンドを地域に貸し出し

2022年1月20日 07時32分

完成したばかりの人工芝グラウンドでサッカーを楽しむ朝鮮学校と地元の児童ら。赤いユニホームが朝鮮学校のチーム

 茨城朝鮮初中高級学校(水戸市千波町)のグラウンドが昨年末、土から人工芝に生まれ変わった。県が朝鮮学校への補助金交付を取りやめていることもあり、資金はクラウドファンディング(CF)などの寄付で確保。水はけの良い真新しいグラウンドは、地域のスポーツチームにも貸し出す。学校関係者は、朝鮮学校への理解を深めてもらう拠点になればと期待を込める。(保坂千裕)
 昨年十二月二十五日。地元の小学生サッカーチームが交流試合に招かれ、朝鮮学校の初級生チームとともに汗を流した。この日の水戸市内は雨に見舞われたが、人工芝が早速、真価を発揮。主将の李誠研(リソンヨン)君(12)は「水抜きしなくてよくてうれしい。滑りにくくてやりやすい」と笑顔を見せた。
 同校は一九五三年に設立され、日本の教育制度で小中高に当たる初級、中級、高級部の約五十人が学ぶ。一貫教育の朝鮮学校は珍しく、北関東や東北などから来た子どもたちも寮生活をしながら通っている。

◆県の補助金休止「子どもたちに政治関係ない

 ただ、朝鮮学校の児童・生徒は年々減少しており経営は苦しい。県からの補助金も二〇一五年度を最後に休止。水はけの悪い土のグラウンドは、一度雨が降ると水抜きに一週間かかってしまうこともあり、子どもたちの悩みの種だったが、改修に必要な予算を確保できずにいた。
 「母校の教育環境を良くしたい」。一八年十月、慶光浩(けいみつひろ)さん(39)ら卒業生六人が立ち上がった。

子どもたちの交流試合を見守る慶光浩さん(右)ら学校関係者=いずれも水戸市で

 人工芝に交換するための総工費は約三千万円。支援団体などからの寄付はあったが、朝鮮学校の存在を多くの人に知ってもらいたいとの願いを込めてCFも始めた。三年越しの計画が実り、小学生のサッカー公式戦もできる人工芝グラウンドが完成した。
 慶さんたちのもう一つの目的は、地域になじんでいるとは言い難い朝鮮学校の扉を地域住民に開き、自然な交流を促すことだ。「政治的差別やヘイトスピーチは、子どもたちには関係ない。表面的には五輪などで多文化共生をうたうが、日本はまだそうではない」と慶さんは訴える。
 同校は、授業や部活動がない夜間などに、これまで交流がある地元スポーツチームを中心にグラウンドを貸し出すとしている。
 十二月の交流試合の日、慶さんはグラウンドを走り回る子どもたちを眺めながら、「朝鮮学校は怖い場所ではない。楽しく触れ合うことが大事だ」と語った。
<朝鮮学校> 文部科学省によると2021年5月1日現在、63校(5校は休校中)が都道府県の認可で設置されている。16年3月、馳浩文科相(当時)が私立学校振興助成法(私学助成法)に基づく補助金交付を再検討するよう都道府県に通知。交付を中止、減額する事例が相次ぎ、本県も茨城朝鮮初中高級学校への交付を16年度以降、取りやめている。同校や支援団体は再開を求めるが、県は応じていない。

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