沖縄・名護市長選、基地巡る「アメとムチ」の構図は今回も 与党系現職と野党系新人が一騎打ち

2022年1月21日 06時00分
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先である辺野古を抱える名護市の市長選は23日、投開票される。与党が推す現職候補は、新基地に反対する野党系の新人と一騎打ちの激戦を繰り広げ、建設に伴う交付金を財源とした地域振興策を公約。子育て政策充実やインフラ整備をテコに支持拡大を図る手法は、日米が普天間返還に合意した1996年以来、政府が「アメとムチ」で沖縄に揺さぶりをかけてきた構図と重なる。(村上一樹)

◆政府、交付金を利用し揺さぶりの歴史

辺野古の沿岸部

 「しっかり予算を確保し、事業が確実なものになる道筋を付けていく」
 名護市長選が告示された16日、現職の渡具知武豊氏は第一声で強調した。新基地には直接触れず、任期中に実現した保育料や給食費、子ども医療費の無償化などの実績を訴えた。
 一連の事業の財源には、米軍基地の受け入れ自治体に交付される「米軍再編交付金」の一部が充てられている。2017~21年度の交付額は計約74億5000万円。市道や運動場の整備などにも使われている。
 渡具知氏の念頭にあるのは、新基地に反対し続けた前任の稲嶺進氏時代の10~16年度、政府が交付金を凍結したことだ。政府は、辺野古周辺の行政区に直接補助金を交付する異例の手法で懐柔しようとした。
 こうした手法を踏襲するかのような渡具知氏に対し、新人の岸本洋平氏は、稲嶺市政下でも市の予算を100億円以上増やしたと主張。「子育て支援の無償化を必ず行う」と訴える。

◆基地反対派にかかる圧力

米軍普天間飛行場

 基地問題と経済振興を絡めた政府・与党の揺さぶりは、沖縄県知事に対しても露骨に続いてきた。
 1998年、当時の大田昌秀知事が新基地反対を表明すると、政府は振興策を話し合う「沖縄政策協議会」の開催を見送り続けた。振興策は滞り「県政不況」と批判された大田氏は、同年の知事選で地元経済界が推す稲嶺恵一氏に敗れた。
 10年知事選で基地の「県外移設」を掲げて再選した仲井真弘多氏は13年、当時の安倍晋三首相と会談。21年度までの年間3000億円台の沖縄関係予算確保を提示されると、仲井真氏は基地建設のための辺野古埋め立てを承認した。
 公約違反に対する県民の怒りは大きく、保守系ながら新基地に反対し、保革を超えた「オール沖縄」の支援で翁長雄志氏が仲井真氏に勝利。政府は沖縄予算で3000億円台は保ちつつ、仲井真知事時代のピークからは500億円近く減額した。
 翁長氏後継の玉城デニー氏が知事に就いた後も沖縄予算は低水準が続き、22年度予算案では10年ぶりに3000億円を割り込んだ。名護市長選や秋の知事選など、今年に沖縄県で相次ぐ新基地関連の選挙に向け、政府が圧力をかけているとの見方は根強い。
 玉城氏は「減額は残念としか言いようがない」と批判。「米軍基地が経済発展の最大の阻害要因だ。これ以上の過重な基地負担は認めることはできない」と対決姿勢を鮮明にしている。

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