家族でも政治の話題で口論…SNSで信じたい情報しか読まず 米国の分断は「ベトナム戦争よりも最悪」 バイデン政権1年

2022年1月20日 21時53分
ミネソタ大のビル・ドハーティ教授=本人提供

ミネソタ大のビル・ドハーティ教授=本人提供

 【ワシントン=吉田通夫】20日に発足から1年を迎えるバイデン政権。融和と結束を訴えてきたが、保守派とリベラル派の分断は深まり、家族間でも政治の話がタブーになりつつある。ミネソタ大学教授(家庭社会科学)で融和に向けた取り組みをするビル・ドハーティ氏(76)に分断の原因と今後の課題を聞いた。
 ドハーティ氏は「国内の政治的分断は1960年代のベトナム戦争以来、いやそれ以上で、最悪とも言うべき状況」と語る。
 2016年の大統領選で共和党のトランプ氏が勝利し、国民の分断が進んだのを受けて、家庭内での対立に悩む人たちの相談に応じて融和を目指す団体「ブレイバー・エンゼルス」を立ち上げた。家庭内でも政治の話題で口論になり、崩壊の危機に発展する事例が相次いだからだ。「相手は自分とは違うことを尊重し、無理に考えを変えさせようとしないで」などと助言してきた。
 原因の一端は、ツイッターやフェイスブックなど会員制交流サイト(SNS)と分析。人々は自分が信じたいSNS上の情報しか読まず、見方に偏りが出ている。偏った人々に訴える政治家も先鋭的になって二極化が加速。「トランプ氏はSNSを通じた二極化が進みつつあったときに現れ、相手を攻撃する『戦う大統領』となり、二極化を増幅した」と言う。
 調査機関パブリック・アジェンダの世論調査では、大多数の72%が分断は国に良くないと回答したが、改善すると思うのは9%、42%が分断は深まるとした。「人々は分断を好まないが多くは『相手に原因がある』と考える」と指摘する。
 ドハーティ氏は、民主党と共和党の議員とスタッフを呼んで対話や食事をともにするイベントを開催している。「民主主義のツールを利用して分断を乗り越えるには、庶民が対話の運動を起こし、政治指導者のレベルに上げていかなければならない」と語った。

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