人も生き物も水草も、呼吸のハーモニー 水音に抱かれヨガ すみだ水族館で企画展

2022年1月21日 07時05分

水槽を見ながらヨガをする参加者ら

 長引くマスク生活で呼吸が浅くなっていませんか−。墨田区の東京スカイツリータウン内にあるすみだ水族館では、呼吸をテーマにした企画を開催している。水族館の生き物も人間も呼吸して生きている。目に見えないからよく分からない「呼吸」について深く意識を向けてみようと呼び掛ける。
 「ゆっくり息を吐いて、吸って」。一月中旬、閉館後の静かな水族館内で、呼吸を深めるヨガ体験が開かれた。参加者十人は、水槽の水がコポコポと流れる音や幻想的なBGMを聞きながら、ヨガ講師の指導にあわせて呼吸しながら体を動かした。講師は「吸う息と吐く息のバランスが崩れると自律神経が乱れてストレスになる。意識して呼吸しましょう」とアドバイス。会社帰りに参加した江東区の女性(31)は「普段はスマホばかり見てしまうが、水槽に囲まれて水の音を聞きながらゆったり呼吸して、癒やされた」と話した。
 ヨガは二月二十八日までの企画展「呼吸でめぐる、水族館」の一環で開催された。

水草についた酸素の泡=いずれも墨田区のすみだ水族館で

 すみだ水族館の見どころは、かわいいペンギンやクラゲや魚だけではない。館内で最初に目に入るのが「自然水景」エリア。幅数メートルの大きな水槽に水草が豊かに茂り、小魚が気持ちよさそうに泳いでいる。明るく照らされた水槽内には二酸化炭素が送り込まれ、光合成で生まれた酸素の気泡がプクプクと水草の表面に浮かぶ。「普段は見ることのできない光合成が、水の中だからこそ見えます。全ての生き物が呼吸でつながっていることを知ってもらいたい」と広報担当者。
 自然の水中景観を水槽の中に再現し、流木や石を配置して水草や魚、エビなど自然の生態系を楽しむアート「ネーチャーアクアリウム」が、環境問題への関心の高まりと同時に注目されている。
 手掛けたのは、世界的な水景クリエーター、天野尚さん(一九五四〜二〇一五年)。ポルトガルのリスボン海洋水族館に幅四十メートルの世界最大の淡水ネーチャーアクアリウム「水中の森」を造るなど、国内外で活躍した。天野さんが手掛けた作品は、国内にはすみだ水族館と天野さんが創業した水草育成関連用品メーカー「アクアデザインアマノ(ADA)」の本社(新潟市)、天野さんの自宅の計三カ所のみという。
 天野さんが隅々まで緻密にレイアウトした「自然水景」は、人工物であることを忘れるほど。ADAの社員が毎日訪れてメンテナンスを行っている。

天野尚さんが手掛けた常設展示の「自然水景」

 企画展の開催期間は、同社が手掛けた六つの水槽を「緑と呼吸のテラス」として特別に展示。「酸素が生まれる緑の水槽」「水槽の中をめぐる酸素、呼吸の循環」「緑と光が育む呼吸」の三つのテーマで水草から酸素が生まれる様子を間近で観察できる。水槽の様子をスケッチしていた江東区の小学五年、北晃史太朗君(10)は「水草に酸素ができるのがよくわかった。神秘的で、生きる力を感じる」と見入っていた。
 企画展開催中はマスクに貼るアロマシールも配布している。広報担当者は「マスク生活が長くなり酸欠になりがちな時代に、来館者に良い呼吸を喚起したい」と願っている。
 問い合わせは同館ホームページか電話=03(5619)1821=へ。
文・長竹祐子/写真・池田まみ、長竹祐子
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親子連れなどでにぎわう「緑と呼吸のテラス」


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