危機管理のプロセス「おかしかった」 アーツ前橋、作品紛失問題 検討委が提言書

2022年1月21日 07時48分
アーツ前橋(2013年1月撮影)

アーツ前橋(2013年1月撮影)

 前橋市の市立美術館「アーツ前橋」が作家二人の遺族から預かった作品計六点を紛失した問題で、有識者らでつくるアーツ前橋あり方検討委員会は「正しい対応が組織的に取れなかった」と市に反省を求める提言書をまとめた。
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 提言書によると、この問題では「調査、謝罪、詳細調査、原因究明、改善策策定、処分」の順で進めるべき危機管理のプロセスが「おかしかった」と指摘し、市に改善を求めた。
 美術館としても、非常勤の館長と経験が少ない数人の学芸員という人員構成が続き、「学芸員に退職者が多く、頻繁に募集していたのは全国的にも例が少ない」と問題視した。
 このため、今後は待遇改善を図りながら質の高い正規雇用の学芸職の確保が必要との認識を示した。美術館の運営を客観的にチェックする第三者機関を設けるように提案もしている。
 館長については、「リスク評価と管理、コンプライアンス(法令順守)が徹底でき、信頼回復に尽力できる」などの基準で選任するように提言した。
 検討委は各地の美術館長、画家、大学教員ら計十三人で構成し、昨年六〜十月に五回の審議をした。
 この問題を巡っては、市が設けた有識者らによる調査委員会が昨年三月、当時の住友文彦館長らが市に隠蔽(いんぺい)や虚偽の説明を検討していたという趣旨を報告書で指摘。住友元館長は「隠蔽やうそはない」と反論したが、訓告処分を受けた。
 美術館を退職した住友元館長が所属する東京芸術大は昨年十月、本人から「学内外の活動を当分の間休止したい」と申し出があり、学内に検証委員会を設けて調査すると公表した。(菅原洋)

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