<ねぇねぇちょっと 特別編>うつの夫を思いやれない カウンセリング活用して

2022年1月21日 09時20分

相談者への励ましや助言がつづられた投書

 夫がうつ病になって「仕事がしんどい」「辞めたい」と繰り返し言い、「いいかげんにして」とさえ思えて苦しい−。読者の悩みに読者が答える「ねえねえちょっと」。愛知県の女性(51)のこんな相談(昨年十一月六日)には、同じように悩む人らから多くの励ましや助言が寄せられた。うつ病の家族とどう向き合うか。読者の回答と専門家の意見を紹介する。 (海老名徳馬)
 岐阜県各務原市の女性(56)は、相談者と同じような境遇で「夫に頼られて私も壊れてしまった」と体調を崩した経験を明かす。十二年前からうつに悩む夫は、仕事に行く前も帰宅後も不満を漏らす日々。聞き続けるうちに女性も追い詰められ、一時は「怖くなってごみ捨てや買い物で外に出られない」状態に陥った。
 転機は四年ほど前。夫の通う心療内科は一回の診察時間が短いため、女性が勧めたカウンセリングに夫が通い始めると、家庭内で不満を言う回数がぐんと減り「とても楽になった」という。夫は今も二カ月に一度カウンセリングに通う。相談者には「私に話されてもつらい、と伝えてみるといいのでは」と助言する。
 ◇ 
 「このままでは夫婦でうつ病になる」と危機感を覚え、夫との関係を見直したのは名古屋市の女性(44)。夫にうつの症状が現れ始めた当初は悩みに共感していたが、四年ほどして「私が健康でいるために心の距離を取る」と決意したという。夫の言葉に相づちを打つものの「聞き流して感情に寄り添わない。女優になりきって聞いている感じを出す」。三人の子どもを育てるためにも「葛藤はあるが、自分のメンテナンスを最優先にすると夫に穏やかに対応できる」と割り切る。
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 うつ病の当事者からも、配偶者にカウンセリングを受けてほしいという意見が寄せられた。愛知県刈谷市の女性(48)は、怒りを抑えきれずにぶつけるなどしたことで夫との関係が悪化。自分が通う臨床心理士に別の専門家を紹介してもらい、夫にもカウンセリングを受けてもらうようにした。
 「お互いに何を話したかは聞かないのがルール」と臨床心理士に言われているためカウンセリングの中身は知らないが、時に高圧的だった夫の態度が和らいだと感じている。「現在も月に一回通い続けてお金はかかるけれど、それだけの価値があると思う」と話す。

◆共感しつつ開き直りも大切 心療内科医・小出将則さん

 家族がうつ病で苦しんでいる場合、どう対処するのがいいか。愛知県一宮市で開業する心療内科医の小出将則さん(60)は「ケース・バイ・ケースだが一般論では、同じ時間と場所をできるだけ共有することがまず大事」と話す。
 うつ病の人に接する際に大切な姿勢は「傾聴、受容、共感」と説明。相手の話を聞き、受け入れて、思いに寄り添う。自分の話はせずに相手の話に興味を持ち、教えてもらう態度で。相手の言葉を繰り返したり、うなずいたりするだけでもいい。
 ただ、患者の配偶者は巻き込まれて心を病む「共倒れ」の状態になる可能性も。共感しやすい性格の人がなる場合が多く、小出さんは「共感できるのは逆に言えば影響を受けやすい。なんとかなるさ、と開き直るのもいい」と説明する。
 一方で、うつは自傷や自死につながることもある。本人に普段と違う態度や言葉遣い、雰囲気があるときは要注意で、特に症状が良くなってきた時期が危険という。「家族だからこそ気付く、いつもと違うところに注意してほしい」と呼び掛ける。

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