将棋・第63期王位リーグ 精鋭12人出そろう 10代~50代の多彩な顔ぶれ

2022年1月21日 20時00分
 将棋の藤井聡太王位(19)=竜王、叡王、棋聖=への挑戦者を決める、お~いお茶杯第63期王位戦(東京新聞主催、伊藤園特別協賛)はリーグ入りの棋士12人が決定。前期挑戦者の豊島将之九段(31)をはじめ、10~50代の多彩な顔ぶれがそろいました。2月1日のリーグ開幕を前に、予選決勝の模様やリーグの見どころを紹介します。
 昨年12月3日、東京・将棋会館で指された予選3組決勝は、ベテランの日浦市郎八段(55)と現役最年少の伊藤匠四段(19)による年の差対決となりました。先手の日浦八段は玉を囲わず、積極的に攻めかかります。互いに玉が薄く、一手間違うと奈落の底、という終盤戦でしたが、伊藤四段の読みは正確でした。先手は居玉がたたり、攻防とも見込みがなくなった局面で日浦八段が投了しました。

◆伊藤四段 王位戦初参加でリーグ入りの快挙

 プロ入りからまだ1年余りの伊藤四段は、王位戦初参加でリーグ入りの快挙。予選では現在3人いるタイトル保持者の1人、永瀬拓矢王座(29)を破るなど、大型新人の登場を印象づけました。「予選は全体的にうまく指せた将棋が多かった」と振り返ります。

王位戦初参加でリーグ入りを決めた伊藤匠四段

 昨年は新人王戦で優勝したほか、超早指しの団体戦ABEMAトーナメント(準公式戦)では藤井王位と同じチームに所属し、優勝に貢献するなど、飛躍の年となりました。藤井王位とは同年齢で、史上初となる10代同士のタイトル戦の実現にも期待がかかります。「リーグは強い方ばかりなので一戦一戦集中したい」としつつ「やるからには上を目指して戦いたい」と意欲も見せました。

◆プロ入り19年目で初の予選優勝の西尾七段

 今回は初のリーグ入りが続きました。西尾明七段(42)はプロ入り19年目で初の予選優勝に「何回も予選決勝で負けてきたので、率直にうれしい」。日本将棋連盟の常務理事として運営に尽力する、多忙なプレイングマネジャーでもあります。「研究の時間をつくり、丁寧な将棋を指したい」と意気込みを語りました。

初の予選優勝を決めた西尾明七段=東京都渋谷区の将棋会館で

 意外な新顔は糸谷哲郎八段(33)。順位戦で最高峰のA級に所属するトップ棋士ですが、王位リーグに縁がありませんでした。「だいぶ相性が悪い棋戦でしたが、今期はあわよくば挑戦できたら」と語ります。
 同じく新顔の黒沢怜生六段(29)は、プロ棋界ではやや少数派の振り飛車党。「リーグで5局指せるのはうれしい。ちょっとした波乱を起こしたい」。久しぶりのリーグ入りを果たした振り飛車党のエース久保利明九段(46)とともに、華麗な振り飛車の戦いを見せてくれそうです。
 今期は珍しく、タイトル保持者のいないリーグとなりました。予選で渡辺明名人(37)=棋王、王将=を破ったのが千葉幸生七段(42)です。12月24日の予選8組決勝でもA級棋士の佐藤康光九段(52)を破り、2007年以来2度目のリーグ入り。「家族への報告がクリスマスプレゼントになる」と笑みがこぼれます。「もう若くないので威勢のいいことは言えない。まずは勝ち越しを目指し、いい将棋を指したい」と語りました。
 一方、前期リーグで残留した4人も準備万端です。豊島九段は年頭の取材に「普段の勉強などでこれまでになかったような取り組みをし、長い目で見ての実力をつけたい」と決意を新たにしました。タイトル通算100期へあと1冠としている羽生善治九段(51)は「一つ一つの対局をしっかり頑張ってチャンスをつかむことが大事。現代調の戦術に適応していくことが求められている」と述べました。

◆藤井王位 「勢いのある方が集まっている」

 1月中旬の組分け抽選の結果、紅組は初参戦の棋士が半数とフレッシュな面々になりました。白組は羽生九段、久保九段、糸谷八段とタイトル経験者がひしめきます。

王位リーグの印象について語る藤井聡太王位=東京都渋谷区で

 待ち受ける藤井王位にも尋ねました。「顔ぶれを見ると、勢いのある方が集まっている」との返答。「中でも伊藤四段と千葉七段はそれぞれ永瀬王座と渡辺名人を破ってのリーグ入りで、充実されているという印象」と語りました。
 王位リーグは2月1日、千葉七段-池永五段戦で開幕します。夏に開催される7番勝負に登場するのはいったい誰か、ご注目ください。

 王位リーグ 前期からのシード4人と、予選で優勝した8人の計12人が参加。紅白の2組に分かれ、総当たりのリーグ戦で争う。各組の優勝者同士が挑戦者決定戦を行い、勝者が例年7~9月に開催される7番勝負に進出する。両組とも3位以下は陥落となる。現在の王位は藤井聡太四冠で、2連覇中。

◆取材を終えて

 本文では紹介しきれませんでしたが、シード組の澤田真吾七段と佐々木大地五段は、王位戦と相性のいいリーグ常連の棋士。近藤誠也七段、池永天志五段も前期リーグに参加し、再び予選を勝ち抜いた実力者です。誰が挑戦者になってもおかしくありません。(樋口薫)
中日新聞・東京新聞 将棋公式チャンネルでは、王位リーグを展望する広瀬章人八段の動画を公開中です。

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