賃貸物件にリフォームして収益化 注目の「空き家サブリース」とは?<まちビズ最前線>

2022年1月23日 06時00分
 空き家を賃貸型の住宅や店舗などに改修し、第三者に貸し出すビジネスが注目されている。原則として空き家所有者が費用を負担せずに、資産価値の向上を狙えることが特徴。「売るに売れない」「今は使わないが手放したくない」と悩む所有者には選択肢となりそうだ。(妹尾聡太)

◆築50年超の木造住宅が店舗に

 「空き家だったことは近所の皆さんによく知られていたので、店の存在をすぐに広めてもらえた」
 マンションや一軒家が立ち並ぶ東京都文京区の静かな住宅街。カフェ風のバー「小石川かふぇ」を営む吉田和也さん(34)が5年前の開業時を振り返る。
 もともとは築50年を超える木造2階建ての住宅で、3戸連なる長屋の真ん中。オーナーが売却先を探していたが、住宅としての使い勝手が悪く、なかなか買い手が見つからなかった。

㊧店舗へリフォームする以前、空き家だった住宅=ジェクトワン提供  ㊨リフォーム後の店舗で「小石川かふぇ」を営む吉田さん=いずれも文京区で   

 そこに飲食店化を提案したのが、空き家活用サービス「アキサポ」を2016年から始めた不動産会社ジェクトワン(渋谷区)。同社はオーナーから空き家を借り上げてリフォームし、数年~十数年間「また貸し」することで費用を回収、利益も得る。サブリースと呼ばれる仕組みだ。
 吉田さんは店を借りて家賃を支払い、同社はオーナーに固定資産税などの相当額を支払う。オーナーは改修費を負担せず、サブリース期間の終了後は家賃を得ることができる。

「小石川かふぇ」の外観

◆「空き家の放置なくしたい」

 同社は空き物件をシェア型のオフィスや厨房、貸しガレージなど多様な施設へと改装。主に首都圏で約50件を手掛け、さらに成長中だ。全国でも同業他社が次々に参入している。
 もっとも、売却したり駐車場に変える空き家も多く、リフォームだけが解決策ではない。ジェクトワンの大河幹男社長は「ゴールは空き家の活用ではなく、空き家をなくすこと。放置が一番いけない」と訴える。
 空き家サブリースを提供するNPO法人「空家・空地管理センター」の伊藤雅一理事も「選択肢の1つ」と強調する。「家は大事な資産。最も良い解決方法を相談者が選べるよう多くの手段を伝えたい」

 空き家問題 国の調査によると、2018年の空き家数は全国で過去最多の849万戸(空き家率13.6%)。東京都は微減傾向で81万戸(同10.6%)だった。相続や長期入院で生じる空き家が放置され、倒壊や放火、不法投棄などの恐れが強まり、周辺の住環境に悪影響を及ぼすことが社会問題となっている。

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