<社説>統計不正で処分 幕引きは到底許されぬ

2022年1月22日 07時52分
 国土交通省の統計不正で同省次官のほか当時の担当幹部らの処分が決まった。基幹統計の書き換えであり処分は当然だ。ただ不正の動機など未解明な部分も多く問題の幕引きは到底許されない。
 処分は十四日に公表された第三者検証委員会による報告書の内容を受けた措置である。処分とは別に斉藤鉄夫国交相も給与などを自主返納する。
 不正があったのは国交省が毎月公表する「建設工事受注動態統計調査」だ。全国の建設業者の受注実態を詳細に把握するための調査で、政府は五十三ある基幹統計に指定して国内総生産(GDP)の算出にも活用している。
 報告書は不正が始まった時期について「二〇〇〇年以前から継続していた」などとし、一部職員がデータをめぐる不正に気づいて報告した後も上司が対応しなかったことを指摘した。これらが事実なら同省がデータに向き合う姿勢は長期間にわたり根元から腐敗していたことになり、同省が所管するすべての統計について徹底的に調査し直す必要がある。
 さらに不正は会計検査院が指摘した後の二一年三月まで継続していた。一八年には厚生労働省の毎月勤労統計をめぐる不正が発覚し、政府は国の統計全体を再調査したはずだ。
 報告書は国交省が内外の指摘を無視した上、国の調査をくぐり抜け不正を続けた理由や、誰がどのような動機で始めたのかについて明確な結論を出していない。
 GDPに関しても「統計的に大きな数字を公表する作為的な意図はなかった」としたが、これも納得できない。報告書は三週間の資料分析と聴取でまとめられたが、短い調査で複雑な計算式によりはじき出されるGDPへの影響を正確に把握するには無理がある。
 GDPへの疑義は金融市場を中心とした国際社会における日本の信用を失墜させかねない。今回の調査は明らかに不十分だ。第三者委は調査を継続し、より詳細な報告書をつくるべきだ。
 今回の問題は統計法などに抵触する可能性があり関係者の刑事告発を視野に入れるレベルの不正。基幹統計に虚偽があれば多くの政策が立案根拠を失う恐れもある。
 調査継続と並行して、通常国会でも予算委員会などで集中してこの問題を取り上げ、真相究明を図るべきである。 

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