外資系大手エネルギー企業がミャンマーから撤退へ 状況悪化で、国軍に利益渡らぬよう判断
2022年1月22日 22時20分
【バンコク=岩崎健太朗】ミャンマーでガス田運営事業などにかかわっていたエネルギー大手の仏トタルエナジーズと米シェブロンが21日、国軍クーデター後の人道状況の悪化を理由に撤退を表明した。収益が国軍に流れると追及していた民主派や人権団体は歓迎し、他の外国企業にも国軍関連事業と関係を断つよう求めている。
ロイター通信によると、両社は国軍統制下の石油ガス公社などと共に、南西部沖のガス田やパイプライン運営事業に参画。クーデター後は配当金の支払いを止めて国軍に資金が渡らないようにしてきたが、「人権や法の支配が悪化し続け、状況を見直すことにした」などと説明した。
事業では、天然ガスの7割を隣国タイに輸出。国内では最大都市ヤンゴンの電力の半量を賄っているが、人権団体ジャスティス・フォー・ミャンマーは「国軍への資金を断つというミャンマー市民の要求に耳を傾けた判断で、外国政府、企業は石油や天然ガスへの標的制裁を進めるべきだ」との声明を発表した。
クーデター後の外国企業の経済活動停止は市民生活に影響する半面、継続すれば国軍を利すると民主派は批判している。ノルウェーの通信大手テレノールなどがすでに撤退を表明。日本では国軍系企業と合弁を組んでいたキリンホールディングスが解消手続きを進めているが難航している。
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