「地球平和憲章」広がれ 市民団体が草案 非戦・非武装・非核・非暴力を追求

2019年5月30日 16時00分
 戦争放棄や戦力不保持をうたう憲法九条の理念を、世界に発信する市民グループ「9条地球憲章の会」が、九条の理念を反映させた「地球平和憲章」の草案をまとめた。「非戦、非武装、非核、非暴力」という理念に基づき、各国の軍隊を人道的な組織に再編することなどが柱。各国の市民にも同様の憲章づくりを呼び掛け、ゆくゆくは九条の理念に沿った国連憲章改正も夢に描いている。 (安藤美由紀)
 同会は、憲法施行から七十年となる二〇一七年の三月、平和教育を専門とする堀尾輝久・東大名誉教授ら国内外の有識者、市民が発足させた。世界から戦争をなくすための憲章を、九条をモデルに、市民の手でつくることを目指した。日本を含む十七カ国の千人超が賛同者に名を連ねる。
 シンポジウムを開催するなど、国内外の有識者や市民から意見を聴き、二年以上をかけてまとめた草案はA4判、十九ページ。世界から戦争をなくすことは「人類最大の夢」とし、「あらゆる戦争を放棄し、あらゆる戦力も持たない九条は徹底的平和主義に立脚する」と高く評価している。
 内戦や対テロを含むすべての戦争を「絶対悪」と定義。「軍隊廃止は、あらゆる名目の戦争を防止する上で最良の方策」とした上で、各国の軍隊から「軍事的な部分」をなくし、災害支援や復興支援のための組織とするよう求める。他国を武力で守る集団的自衛権は認めないとした。
 人類は、核兵器や原発とは共存できないとも強調。非暴力で物事を解決する日本国憲法の思想を発展させるよう訴えている。
 先に東京都内で開いた総会で寄せられた意見に基づいて草案を修正し、同会の地球平和憲章として完成させる。英語などに翻訳し、ホームページに掲載する予定だ。
 堀尾さんらは、各国の賛同者にも、九条の理念を反映した地球平和憲章をつくってもらいたい考え。世界共通版の憲章もまとめた上で、各国の市民がそれぞれの政府に働き掛けて国連での採択を目指すことや、国連憲章の改正につなげることも期待する。現行の国連憲章は武力の保持や、集団的自衛権を認めている。
 堀尾さんは「九条は私たちの誓いであり、世界にとっても宝。各国の市民が学び合い、この精神を生かした憲章をまとめてほしい」と話している。
<国連憲章> 第2次世界大戦直後の1945年10月に発足した国連の基本事項を定めた条約で、前文と111条で構成。国連の目的や原則、総会や安全保障理事会の構成や任務、権限などを定める。平和的手段による紛争解決を掲げるが、安保理が平和への脅威や侵略行為を認めた場合、武力行使を含む強制措置を取ることができる。ある国が武力攻撃を受けた際、密接な関係にある国が反撃する集団的自衛権の行使も容認する。憲章改正には安保理常任理事国5カ国が拒否権を持つ。

「地球平和憲章」草案について、パネルディスカッションする堀尾輝久東大名誉教授(左)ら=19日、東京都千代田区で(中西祥子撮影)

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