2000室空いていても入れない…東京都の宿泊療養施設 感染急拡大 小池知事「自宅療養」へ方針修正

2022年1月24日 06時00分

東京都が宿泊療養施設として借り上げているホテルの一室=2020年12月、東京都渋谷区で(松尾博史撮影)

 新型コロナウイルス「オミクロン株」の感染が急拡大する東京都では、都が軽症、無症状者向けに用意した宿泊療養施設に約2000室の空きがあるにもかかわらず、入室待ちが出ている。受け入れ枠に余裕を持たせる狙いがあるが、希望する患者からは不満の声が上がる。前提となる「原則宿泊療養」の方針そのものも事実上修正する事態となっており、未曽有の拡大ペースの中で都は対応に苦しんでいる。(加藤健太)

◆都の電話窓口に70回以上かけた末に…

 「いつ入れるか分かりません」。コロナ感染が判明した都内の女性は、電話口の返答に落胆した。
 14日に発症した。同居の夫にうつさないようにと都がビジネスホテルなどを借り上げた宿泊療養を希望。都の電話窓口に70回以上かけ続け、ようやくつながった末のひと言だった。

管轄の保健所から送られてきたメール=女性提供

 その後、頭痛やせきに見舞われながら1畳ほどの洗面所で入所の知らせを待つなどしたが、返答はない。保健所からはメールで「優先的に必要な方にはお電話をしています」と連絡があるだけ。1週間たってもせきが治らないまま自宅療養を余儀なくされた。
 都の担当者は「時間帯によっては電話がかかりづらかった」と認める。18日からは回線を10から30に増やした。ただ、重症化リスクがある高齢者と同居している人らを優先しており、電話がつながってもすぐ入所できるわけではない。
 「もう入れないだろうな」。女性はツイッターでの取材にこうつぶやいた。「優先順位があるならそう案内してくれればいいのに」

◆「今は満室にしたくない」

 コロナ患者の療養方針は保健所が決めており、重症者や高齢者、基礎疾患がある人は入院、それ以外の人は自宅か宿泊施設での療養となる。昨夏の「第5波」では保健所の業務が逼迫し、宿泊施設を希望してもすぐに入れない事態が起きた。
 都はその反省から、保健所を介さず申し込む電話窓口を新設。宿泊療養施設を最大で1万1000室を確保するなど体制を強化し、今月7日には小池百合子知事が「原則宿泊療養」を打ち出した。しかし利用可能な4760室に対し、22日時点で入れた人は2717人。都は数字を明らかにしていないが、女性のような入所待ちが一定規模出ているという。
 数字上空いていても入所できない理由について都の担当者は「宿泊療養をした方がいい人が今後も増えると考えると今は満室にはしたくない」と明かす。

◆無症状者を一堂に受け入れる施設も新設

視察先の無症状者向け宿泊療養施設で取材に応じる東京都の小池百合子知事=23日、東京都千代田区で(加藤健太撮影)

 東京都で初めて感染者が9000人を超えた21日。小池知事は午後の定例会見で「感染の拡大に伴い、現実的には自宅で療養していただく」として、原則宿泊療養の方針を実質的に転換する姿勢を示した。宿泊療養の順番待ちが出ている状況に対応するため、入所希望者のうち無症状の人を一堂に受け入れる施設を千代田区のJR有楽町駅前に新設することも明かした。
 23日に早速施設を視察した小池知事は、宿泊療養を巡る方針についてあらためて問われ「残念ながら感染者が増えている流れの中で、軽症や無症状の人はできるだけ自宅にいていただく」と繰り返した。

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