<社説>年金額の改定 高齢期の安心支えたい

2022年1月24日 07時02分
 二〇二二年度の公的年金支給額が決まった。0・4%の引き下げで、二年連続のマイナス改定。指標となる物価・賃金が下がったためだが、長引くコロナ禍で生活への不安は募るばかりだ。
 高齢期の暮らしの安心を底上げするためには、年金額の引き上げはもちろん、高齢者が働きやすい就労環境の整備や、安価な住宅供給なども合わせて考えたい。
 年金支給額の引き下げは受給者には痛手となる。コロナ禍で仕事が減り、収入減となった働く高齢者もいるだろう。政府はまず、改定に不満や疑問を抱く国民への説明を尽くさねばならない。
 物価や賃金の変動に合わせて厚生年金や国民年金の支給額を増減させる仕組みとは別に、高齢者に支給する年金額を目減りさせ、将来世代の年金財源に回す「マクロ経済スライド」は今回実施しない。
 マイナス改定の場合は適用しないのがルールのためで、マクロ経済スライドの実施は〇四年の導入以来、三回にとどまる。
 この仕組みを適用するか否かにかかわらず、将来世代の年金財源をどう確保するか課題は残る。
 厚生労働省は将来世代の年金確保のため、職場の厚生年金に加入できない非正規雇用者が加入できるよう適用拡大を進めている。厚生年金に加入できれば将来、無年金・低年金者を減らせるためだ。
 ただ対象者は増えてはいるが、その歩みは遅い。対象拡大には、保険料負担に難色を示す事業者の理解が不可欠だ。コロナ禍による経営環境の悪化で保険料負担が重荷になるのなら、納付を猶予する制度の拡充も考えたい。
 既に年金を受給しているものの低年金の高齢者への目配りも欠かせない。年金とは別に、消費税を財源に最大月五千円の給付制度があるが十分とはいえない。増額のために財源の検討を始めたい。
 年金財源を将来にわたって確保するため、年金支給額の目減りは今後も進む見通しだ。
 特に、国民年金は財政に余裕がなく、目減り幅が厚生年金よりも大きくなるため、厚労省は、厚生年金の資金を国民年金(厚生年金では基礎年金)に振り向ける打開策の検討を始めている。
 ただ、財源の振り替えには徹底的な議論が不可欠だ。確保しやすいところから財源を得ようという安直な姿勢なら、厚生年金加入者の理解はとても得られまい。

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