<社説>北京で市中感染 「武漢の隠蔽」を教訓に

2022年1月24日 07時02分
 中国で新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の確認が相次いでいる。中国は北京五輪成功を最優先に感染の連鎖を完全に止めようとする「ゼロコロナ政策」を進めるだけに、もしも深刻な感染拡大があった場合に、その政策が正確な情報公開の足かせになることも懸念される。「武漢の隠蔽(いんぺい)」を教訓に、適切な情報開示を徹底してほしい。
 北京では今月中旬、初めてオミクロン株の市中感染が確認された。当局は二月四日に開幕が迫っている北京五輪の一般向けチケットの販売を断念。各地の空港や駅ではPCR検査の陰性証明と二週間以内の行動履歴を提示するよう求めるなど、警戒を強めている。
 北京に先立ち、天津市、上海市、広東省などでオミクロン株の市中感染が確認されていた。二月一日の春節(旧正月)を前に、休暇を利用した帰省で十二億人余が国内移動すると見込まれるだけに、全土への感染拡大も懸念される。
 習近平国家主席はテレビでの新年あいさつで「世界のために盛り上がる五輪にする」と述べ、五輪成功に強い決意を示した。むろん、ロックダウン(都市封鎖)などの強権的手法を伴う「ゼロコロナ政策」が効果を上げてきたのは事実だ。世界の感染者数は最多の米国が約六千八百五十七万人なのに対し、中国は十一万八千三百七十人(二十日現在)にとどまる。
 だが、習氏が「共産党支配の優位性」と胸を張ってきた感染抑え込みの厳命が、過去には実際に感染が拡大した際に地方幹部らを情報隠蔽に走らせる負の圧力になったとの指摘もある。
 中国指導部は二〇二〇年二月、新型コロナ感染に対する初動対応で、武漢市などの地方幹部による情報公開の遅れや不備があったことを認めている。
 北京でオミクロン株の市中感染が確認されただけに、想像したくはないが、五輪の舞台での感染拡大の可能性はゼロとは言い切れない。もしも深刻な感染が確認された場合、中国は正確な情報の提供を優先し、国民はもちろん、五輪選手や関係者らの生命を守るため適切な対策を講じてほしい。

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