コロナ禍の時間を表現 船橋の水墨画家・荒井さん 1年分・365点で動画に

2022年1月24日 07時09分

自らの作品を壁に張り付ける荒井さん

 「コロナ禍で、大切な時間が失われてしまうような気がする」−。そんな思いから船橋市在住の現代美術家で水墨画家、荒井恵子さん(58)が昨年一年間、毎日一点ずつ作品を手掛けた。「一年分の作品で時間を考える映像を作りたい」と思い立ち、部屋の壁に一点ずつ展示。一点を加えるごとに会場を一枚の写真に収め、計三百六十五点の写真を組み合わせて動画作品にする編集作業を進めている。(保母哲)
 荒井さんが展覧会出品作などとは別に、毎日一点ずつの作品を描こうと考えたのは、新型コロナウイルスの感染が拡大していた一昨年。「外出したり、人と会ったりすることができなくなった。自分の時間がたっぷりできる−と思っていたけど、実際は大切な時間が失われているのでは」と感じたのがきっかけという。
 「すぐに忘れてしまうような過ごし方もあれば、一瞬のことが永遠のように感じられることもある。時間って何だろう」と考え、一年間にわたり日記のように毎日一点ずつ、日付を添えた作品づくりを続けた。
 和紙に濃淡を付けるなど、思い思いに描いた作品は長さ約十センチ〜数十センチとさまざま。靴の形のような造形的な和紙に描いた作品もある。「その日ごとに墨の感覚やにじみ具合が違っている。光の反射で見え方も違う。そうした変化を感じながら、日々描きました」と振り返る。

昨年正月(左手前)以来、毎日1点ずつ描いた水墨作品の展示作業=いずれも船橋市民ギャラリーで

 三百六十五点の作品を写真撮影したのは今月六日で、場所は船橋市民ギャラリー展示室。一月一日に描いた作品を手始めに、一点を加えるごとに、固定カメラで展示会場を写真に収めた。「一日ごとに一点ずつ増えていく写真を組み合わせ、時間や積み重ねをテーマにした映像作品に」と荒井さん。月ごとにまとめた作品は三百六十度カメラで撮影。こうした作業の様子も、タブレット端末で動画収録した。
 荒井さんは約三十年間、船橋市内のアトリエを拠点に水墨作品を創作してきた。自らの作品を展示した映像作品は一昨年一月、市内の三番瀬を舞台にした「息づかい」に続き、同年には約百年の歴史を閉じた市内の老舗割烹(かっぽう)旅館「玉川」で制作している。
 いずれの映像作品も昨年十二月、市内で開いた個展会場で上映した。今回が三作目となり「この作品も何らかの形で、多くの人に見ていただけるようにしたい」と考えている。

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