東京都心、カラスの将来はコロナ禍次第? 今はピーク時の7分の1…「ゼロになってほしくない」

2022年1月25日 06時00分

水浴びしたり水を飲んだりするカラスの群れ=21日、東京都渋谷区で


 東京都心に生息するカラスがピーク時の7分の1に減ったことが、都市部の鳥類を調べている「都市鳥研究会」の調査で分かった。カラスがごみを荒らすのを防ぐネットの普及や、カラスを捕食する猛きん類の都市進出、さらに新型コロナウイルスの影響で人々の外食の機会が減り飲食店から出るごみが減ったことも原因とみている。

 鳥類研究者やバードウオッチャーでつくる研究会は1985年から5年に1回、都心有数のカラスのねぐらがある豊島岡墓地(文京区)、明治神宮(渋谷区)、国立科学博物館付属自然教育園(港区)の3カ所で、個体数を調べている。2020年はコロナ禍のため調査を見送り、昨年12月12日に調査員をワクチンを接種した成人に限るなどして6年ぶりに実施した。
 確認したカラスは3カ所で計2785羽。15年に行った前回調査より2000羽以上少なく、ピーク時の00年の1万8658羽の15%だった。3地点のうち自然教育園は前回の848羽から25羽に激減した。同園では17年からオオタカの繁殖が確認されており、研究会はカラスが捕食されたり、危険を感じて離れたりして減ったとみている。
 明治神宮は1580羽、豊島岡墓地は1180羽で、いずれも前回より3割前後減り、調査日にオオタカが目撃されたという。
 調査責任者で都市鳥研究者の唐沢孝一さん(78)は「以前はオオタカがカラスの集団に追い払われていたが、最近はカラスが減り、立場が逆転しつつある」と話している。

カラスの撮影をする唐沢孝一さん

 
 6年前と比べた急減は、コロナ禍でカラスの餌となるごみが減った影響があると唐沢さんはみており、今後について「新型コロナの感染が収まり、外食が盛んになるなどしてごみが増えればカラスも増える。逆に感染の拡大が続くなどして、ごみがさらに減れば、カラスはもっと減るだろう」と予測する。
 また「カラスはごみをあさり悪い印象が強いが、ネズミの死骸や害虫を食べており、いなくなると困る面もある。地球に人間の思い通りにならない存在がいることを学ぶ役割も果たしており、ゼロになってほしくない」と話す。

◆コロナ禍で事業系ごみ減が影響か

 東京23区清掃一部事務組合によると、23区の店舗やオフィスビルなどから2020年度に収集された「事業系一般廃棄物」(事業系ごみ)は73万トンで、前年度より25%(24万トン)減った。近年にない減少幅で、担当者は「新型コロナウイルスの影響で、事業活動が縮小したためだろう」と話している。

木の枝で羽を休めるカラスの群れ


 事業系ごみは、事業活動で出たごみのうち、産業廃棄物以外の生ごみや紙くずなど。バブル期の1988年度の128万トンが最多で、その後、2019年度までは90万トン台から110万トン台の間で増減を繰り返していた。
 21年度もコロナ前を大幅に下回っている。21年4~11月は前年同期比4%(1万8000トン)増の51万トンだが、19年同期比で24%(15万トン)少ない。
 一方、家庭から出る生ごみなどを含む「可燃ごみ」は20年度は171万トンで前年度より2%(3万トン)増えた。「巣ごもり需要で家庭のごみが増えた」(同組合の担当者)と話す。(加藤益丈、写真も)

関連キーワード


おすすめ情報

東京の新着

記事一覧