理念のみで具体策語らぬ岸田首相 野党「中身がない」 10万円給付はまたもや急転換 衆院予算委

2022年1月25日 06時00分
 岸田文雄首相と与野党の本格論議が始まった24日の衆院予算委員会。立憲民主党の泉健太代表らが新型コロナウイルス対策や、安全保障政策をただしたのに対し、首相は各党代表質問に続いて理念や意欲を冗舌に語る一方、具体論は意識的に避けるような答弁に終始した。離婚したひとり親家庭への10万円相当給付では突然方針を変更し、またもや「朝令暮改」(立民幹部)を見せた。安全運転で失点を防ぎ、世論の反発を招きそうな問題は早めに火消しに走る姿勢が際立った。(井上峻輔、市川千晴)

◆意欲示すだけで

衆院予算委で答弁する岸田首相

 東京都で24日も約8500人の新規感染者が確認された新型コロナ。野党は政府の対策の是非をただしたが、首相は強い意気込みを示しつつ、具体策を問われると、のらりくらりとかわした。
 立民の大串博志氏は「今の感染状況は『最悪』として想定していた範囲内か」と質問。首相は「慎重を期して対応してきた。用意した体制や病床を機能させられるかが問われている」と答えたが、答弁では検査キット不足などによる濃厚接触者追跡の遅れなどには触れなかった。
 コロナワクチンの3回目接種が計画より遅れているとの指摘にも「これから本格化する。できるだけ前倒しを行っていきたい」と意欲を示しただけだった。

◆安保や憲法 抽象論で回避

 安全保障政策や憲法に関しても、はぐらかすような答弁が目立った。
 ミサイル攻撃を相手領域内で阻止する「敵基地攻撃能力」の保有で、立民の泉氏は「フルスペック(最大級)の能力を持とうとしているのか」と追及。首相は「憲法や日米の役割分担の範囲内で、あらゆる選択肢を排除せず、しっかり議論していく」と抽象論を繰り返した。
 泉氏は19日の衆院代表質問の際、改憲について「憲法に自衛隊を書かなければ防衛に不備が生じるのか」という問いに答えなかったとして、重ねて見解をただした。だが首相は「内容や議論の進め方について私の立場から言うのは控えると申し上げた」とゼロ回答だった。

◆ひとり親家庭救済へ急転換

 18歳以下への10万円給付では、昨年9月以降に離婚したひとり親家庭に届かないケースの救済に関し「制度上難しい」と説明していたにもかかわらず、首相は予算委の場で方針を急転換し、制度を見直す考えを表明した。
 首相は昨年12月、10万円の一部を現金でなくクーポンで支給する当初方針を、批判の高まりを受けて改め、唐突に現金の全額給付を認めた経緯がある。オミクロン株の国内流入による同時期の水際対策でも、国土交通省が国際線の新規予約の一律停止をいったん決めたが、官邸側の軌道修正によって直後に撤回した。
 泉氏は首相の政策転換に関し「見直すのは1つの良さかもしれないが、当初の政策の誤りが頻発していることは大変問題だ」と指摘。論戦後、記者団に「(説明の)努力をしている姿は伝わるが、時間をかけて答弁しても中身がない」と答弁姿勢に苦言を呈した。

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