日本のラーメン文化を美濃焼の「丼」で知って 米ロサンゼルスから世界へ発信

2022年1月25日 12時00分
 「日本のラーメン文化を美濃焼のドンブリで知ってほしい」と、岐阜県東濃地域で多く生産されるラーメン丼をテーマにした展示会が3月、米ロサンゼルスにある外務省の拠点「ジャパン・ハウス」で開かれる。きっかけは、東京の百貨店で催された美濃焼丼のイベント。美術家の横尾忠則さんも加わって、世界に向けて情報発信する試みだ。(片岡典子)

美濃焼のラーメン丼展で紹介された横尾忠則さんがデザインした作品(手前)。ユニークなラーメン丼が並んだ=東京都内の百貨店で(川上智世撮影)

 展示会の名称は「THE ART OF THE RAMEN BOWL」。グラフィックデザイナーの佐藤卓さんとライター兼編集者の橋本麻里さんが企画と監修を手掛ける。横尾さんや料理研究家の土井善晴さんらがデザインした絵柄をあしらった美濃焼の丼30点のほか、志野や織部といった美濃焼の伝統的な技法を用いた丼を出展する。
 丼以外にも、先端素材やタイル、陶磁器など、美濃で作られる幅広い焼き物を展示する。ラーメンの歴史や日本人との関わりも紹介する。
 開催のきっかけになったのは、今回の展示会と同様に佐藤さんと橋本さんが企画し、デザイナー団体や東濃地域の商工会議所などが2014〜15年に東京都内の百貨店で開いたラーメン丼展。橋本さんと親交があった「ジャパン・ハウスロサンゼルス」の海部優子館長がこの展示会の情報を知り、米国での展示会を発案した。

展示会が開かれる「ジャパン・ハウスロサンゼルス」のある複合施設=米ロサンゼルスで(片岡典子撮影)

 背景にあるのはロサンゼルスでのラーメン人気。海部館長によると、15年ほど前に豚骨ラーメンが流行したのを機に、しょうゆ味や塩味など幅広い味のラーメンが広がった。
 全米に300店ほどあるラーメン店のうち、3分の1程度がロサンゼルスのある南カリフォルニア地域に集中するという。一方で、ラーメンの歴史や地域性、具材や器のこだわりなどを知る人は少なく、海部館長は「日本の食文化としてのラーメンの深い部分まで知ってほしい」と語る。
 美濃焼について海部館長は「数も種類も多く、米国人にとっても生活に取り入れやすい。それでいて日本らしさも持っている」と評価。現地は世界的な観光地だけに、新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着けば、米国外からの来場も期待できるという。
 展示物の制作には、東濃地域の陶磁器やタイルのメーカー、商社などの若手経営者らでつくる任意団体「セラミックバレー協議会」を中心に東濃の陶芸家や企業が協力した。
 協議会のチェアマンを務め、岐阜県多治見市でタイル製造販売会社を経営する笠井政志さん(63)は「美濃焼は米国では全然知られていない。展示会は、産地が一体となって世界に出ていく取り組みの始まりになる」と意気込む。
 展示会の会期は3月18日〜7月5日。会期中などには、ウェブサイト上でのバーチャルツアーやオンラインでの講演会も予定している。

 ジャパン・ハウス 日本の魅力を発信する外務省の海外拠点。米ロサンゼルスのほか、英ロンドン、ブラジル・サンパウロにある。ロサンゼルスの拠点は、ハリウッド中心地のアカデミー賞授賞式も開かれる複合施設内にあり、計約1300平方メートルに展示ギャラリーやサロンなどを備える。

関連キーワード


おすすめ情報