【動画】伊藤詩織さんの訴え再び認める 「性行為の合意なかった」 山口敬之さんに330万円支払い命じる 東京高裁 伊藤さんにも55万円支払い命令

2022年1月25日 15時24分

高裁判決を受け、記者会見する伊藤詩織さん(左)=25日、東京都千代田区で

 ジャーナリスト伊藤詩織さん(32)が、元TBS記者山口敬之さん(55)から性暴力を受けたとして、1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(中山孝雄裁判長)は25日、性暴力があったと認め、山口さんに慰謝料など約330万円の支払いを命じた。一方、伊藤さんが著書などで山口さんの名誉を毀損きそんしたとして、伊藤さんに55万円の支払いを命じた。(望月衣塑子)
 一審の東京地裁は2019年12月、「酩酊めいてい状態の伊藤さんに対し、合意がないまま性行為に及んだ」と認定し、山口さんに330万円の支払いを命令。山口さんが判決を不服として控訴していた。
 控訴審判決で中山裁判長は、伊藤さんが受けた性暴力について「事件後から一貫して、山口さんから性被害を受けたと具体的に供述し、虚偽申告する動機は認められない」と指摘。2人は性行為を行う親密な関係ではなく、伊藤さんが意識を失っている間に性行為があったと判断した。
 ただ、伊藤さんが著書で、「デートレイプドラッグを盛られた」などとした表現に真実性は認められないとして、この表現を名誉毀損だとした山口さんの主張を認めた。
 山口さんは判決後に会見し、この表現について「伊藤さんの不法行為を認め、損害賠償を認めたことを高く評価する」と述べた。上告する方針を明らかにした。
 一方で、伊藤さんは判決後の会見で、「検察審査会で不起訴不当を訴えて5年。性被害を語る風潮は珍しいとされたが、『#MeToo』運動が始まり、大きな流れを感じた」と述べた。
 
 21年9月の控訴審の口頭弁論で、伊藤さんは「警察に届けた段階で、刑事司法の裁きを望んだが、逮捕は直前で取り消され、かなわなかった。刑事司法の不透明な対応に左右され、性被害がなかったことにされるのに危機感を抱き、顔と名前を出して発信を決断した」と心境を明かした。
 その上で「どんな事件でも『被害者側に沈黙させる方が、被害者のためによい』とされる社会なら、今後も誰かが長期間苦しむ。被害者が司法で守られ、おとしめられるような事がないことを願う」と、涙ながらに訴えていた。
 一方、山口さんも意見陳述し「伊藤さんは、すし屋に行って翌朝まで記憶がないと言う。自ら飲みすぎて悪酔いし、記憶をなくした酔っぱらいなのに、『デートレイプドラッグを盛られた』とされ、(山口さんが)怪しげな薬を盛る卑劣な人間にされた。人生1度もそんなことをしたことはない。薬を盛ったなら証拠を示してほしい」と主張。さらに「ありもしない事実を振りまき、私はあなたのうそに社会的に殺された。高裁では、真実に目を向けて頂きたい」と訴えていた。
 伊藤さんは、準強姦ごうかん(当時)容疑の被害届を警視庁に提出したが、16年7月に東京地検が山口さんを不起訴処分としている。

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