昭和以来の「女性学級」やめて、誰でも学べる「SDGs学級」に 金沢市の生涯学習が方針変換

2022年1月26日 17時00分
未利用魚を用いた前菜が提供されたSDGs学級=2021年12月22日、金沢市窪のレストランで

未利用魚を用いた前菜が提供されたSDGs学級=2021年12月22日、金沢市窪のレストランで

 生涯学習の場となってきた公民館の女性学級やめます―。金沢市教育委員会は本年度に大胆な方針を掲げた。代わりに生まれたのが、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)について、性別を問わず学べる「地域SDGs学級」。全国的にも珍しい取り組みで、女性学級の流れをくみつつ、性別の垣根を越えて新たな未来の地域づくりを目指す。(高橋雪花)

◆女性の学習機会限られていた時代から

 「食とSDGs」をテーマに、金沢市の弥生公民館が市内のレストランで昨年12月に開いたSDGs学級。テーブルを囲んだ男女31人が、店の責任者の話に耳を傾けていた。
 参加者は取れすぎたりして市場に出回らない「未利用魚」を活用する取り組みなどを学んだ後、実際に未利用魚のカツオのスモークなどを味わった。その1人のひがし敏夫さん(70)は「おいしいものを食べながら、問題が身近に分かり良い勉強になった」と話した。
 市教委生涯学習課によると、女性学級は女性の学習機会が限られていた1957年度に始まり、料理や地域の伝統を学ぶ教室などを開いてきた。市教委は、料理で食材を余すこと無く活用するなど、SDGsと共通する精神があることに着目。女性の学びの場が広がってきたことや、SDGsを学ぶのに性別は関係ないとの考えから、新たな学級に生まれ変わるよう促した。

◆「ジェンダーにこだわらず思いのある人が参加できれば」

 市内の全61館のうち、本年度は49館がSDGs学級を設け、気象予報士による防災などの講座や地物を用いた料理教室に取り組む。生涯学習課の安宅英一課長は「公民館を中心にした草の根作戦が地域の大きな力になるはず。LGBTQ(性的少数者)の人もいる中で、ジェンダーにこだわらず思いのある人が参加できれば」と狙いを語る。
 弥生公民館の河合睦主事はかねて環境に配慮した工場の見学などを開いてきた。その流れを踏まえ「SDGs学級もやりやすい。地域を元気にしようと思うと自然にSDGsとリンクする」。男性の参加者はまだ少ないが「皆が興味を持てる内容を考えていきたい」と話す。
 全国公民館連合会(東京)の担当者は「女性学級をやめたり、それをSDGs学級として再構築した例は珍しく、初めて聞いた」と話す。「SDGsは全世代や性別で考える必要があり、喜ばしい動きだ」と受け止めた。

 女性学級 公民館などで実施される女性向けの社会教育で、かつては婦人学級という名が使われることが多かった。戦後の民主化に伴い1946年、社会教育の地域拠点として、旧文部省が各地に公民館の設置を奨励。56年度から全国的に婦人学級を普及させた。


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