<社説>タイヤ脱落事故 増し締め、点検怠るな

2022年1月27日 07時35分
 過去の反省を生かし、防げる事故ではなかったか。走行中の大型ダンプからタイヤが外れ、人や車を直撃し負傷させる事故が今月、群馬県の国道と岐阜県の中央自動車道で起きた。群馬の事故では勢いよく転がる二本のタイヤが住民により撮影された。
 タイヤの脱落は、二〇〇二年に母子三人を死傷させた三菱自動車製トレーラーの事故で社会問題になった。その後も、〇八年に静岡県の東名高速道路で八人が死傷するなど、後を絶たない。
 国土交通省のまとめによると、大型車によるタイヤ脱落事故はこの十年、ほぼ右肩上がりで増え、二〇年度は過去最多の百三十一件に上った。一一年度(十一件)と比べ、十倍以上に激増したことを受け、斉藤鉄夫国交相は昨年十一月、専門的な観点から事故の原因を調査分析すると表明したばかりだ。
 これまでの分析からは、群馬と岐阜の事故にも共通する明確な傾向が浮かび上がる。一つは脱落が左後輪に集中していることだ。旋回の半径が小さい左折時によじれるような力がかかることなどにより、左後輪はタイヤを留めるボルト、ナットの劣化や緩みが進みやすいと考えられている。もう一点、事故の大半は冬場に起きていることだ。融雪剤により部品の腐食が進んだり、業界全体の人手不足や冬用タイヤへの交換作業が集中することなどによる人為的なミスも指摘されている。
 欠陥製品を出荷した三菱自の例は論外として、多くは適切な整備や点検をしていれば防げた可能性がある。国交省は昨年来、ねじの緩み具合が見た目で分かるよう、ナットへのマーキングや、インジケーターと呼ばれる器具の装着を推奨。新品から四年を経過したナットやボルトは特に重点的に点検することも新たに求めている。
 運送事業者や整備担当者は、重さ百キロにもなるタイヤが人の命を奪う「凶器」と化す恐怖を常に念頭に置かねばなるまい。一般のドライバーを含めて、必要な工具は車に搭載し、タイヤ交換後、五十〜百キロ走行後にナットを締め直す「増し締め」や、日々の点検を怠らないようにしたい。

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