<新型コロナ>1都3県で唯一 埼玉県が継続する「ワクチン・検査パッケージ」 飲食店の反応は

2022年1月27日 07時40分
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うまん延防止等重点措置の適用から、まもなく一週間。飲食店は制限付きの営業を余儀なくされているが、埼玉県内ではワクチン接種証明などを活用して行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ制度」の登録店に限り、酒を提供できる。制度による感染防止の効果に疑問符も付く中、さいたま市のJR浦和駅周辺で飲食店主らの声を聞いた。(飯田樹与)

◆酒提供可「ありがたい」 国は原則停止 県「経済と両立」で活用継続

 「お酒を少しでも出せる状況をつくってもらってありがたい」。制度に登録したイタリアンレストラン「アズーリ カーサ」店長の小室卓也さん(33)は、ほっとした表情を浮かべた。単価や客の滞在時間など、酒の有無で売り上げは大きく異なる。
 制度開始直後の先週末、予約客には入店時にワクチン接種証明などの確認が必要なことをあらかじめ伝えていたため、スムーズに対応できたという。小室さんは「(確認で)作業は増えるが、お客さまに安心して過ごしてもらうためには必要なこと」と話した。
 ワクチン・検査パッケージ制度は、新型コロナワクチン二回接種済みか、陰性証明を得ている人の行動制限を緩和する国の制度。オミクロン株の流行でワクチン二回接種後の感染が相次ぎ、政府は制度を原則停止したが、大野元裕知事は「ゼロリスクではないが感染防止対策を講じ、経済との両立を図る事業者が報われることが必要」と指摘。「特例措置」(大野知事)として制度を活用している。
 二十一日からの重点措置期間中、県内の飲食店は原則午後八時までの営業や酒類提供の自粛、客は一テーブルあたり四人以下とするよう求められている。ただし、感染対策の県の認証を受けた上で制度に登録した店は「高いレベルで感染防止対策を維持している」(同)として、午後九時までの営業と午後八時半までの酒類提供が認められ、人数制限もない。

◆「2回接種でも感染ある。おかしな制度」 検査、本人確認…悩み

客に2回接種や陰性証明の確認をお願いしている日本酒ダイニング「栄三郎」店主の田中昇さん=さいたま市浦和区で

 飲食店からは歓迎の一方で、疑問や迷いの声も上がる。居酒屋「ひとりあじ」は制度に登録して酒を出すことにした。ただ、少人数で店を切り盛りするため、店長の小堤悟史さん(44)は「(確認作業で)仕事が増えるので正直きつい」とこぼす。
 「二回接種した人も感染しているのに、おかしな制度だ」と言うのは、日本酒ダイニング「栄三郎」店主の田中昇さん(62)。悩みながらも登録し、酒を出すが、客からも同じ指摘を受けたといい「不思議な制度を実施するなら、広く周知してほしい」と県に注文した。証明がない客には従業員用に用意した抗原検査キットを販売し、その場で陰性が確認されれば入店できることにしているが、先週末は入店をあきらめた客も数人いたという。
 別の飲食店主(54)は登録はしたものの、客の本人確認をすることに抵抗があり、感染防止の効果も疑わしいとして制度を使わないことにした。酒が出せなければ売り上げが期待できず、店は当面休業する。「制度に対する国の運用指針もしっかりしていない」と店主。国が原則停止とする中、県の判断は意地を張っているように見えるといい、「いかがなものか」と苦言を呈した。
 浦和駅周辺では、店先に制度登録店の目印となるピンク色のステッカーなどを掲示している飲食店はあるものの、県内の登録店舗数は二十五日現在で一万二千三百七十七店で、感染対策の認証店の半数弱にとどまっている。
 埼玉を除く首都圏の一都二県は、それぞれ感染対策の認証を受けた飲食店に酒類の提供を認め、制度は使っていない。

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