オミクロン対策、専門家よりも慎重姿勢の政府・自治体 感染リスクを許容できず

2022年1月27日 11時15分
 新型コロナウイルスのオミクロン株対策を巡り、感染抑制と社会経済活動の両立を目指す専門家の提言に対し、政府や自治体が大幅な対策の変更に踏み切れないでいる。デルタ株に比べて高い感染力、低い重症化率、短い潜伏期間が特徴のオミクロン株。専門家は社会活動を維持するため感染リスクの許容を提案するが、政府や知事らは慎重姿勢を崩していない。(沢田千秋、原田遼)

◆知事会で困惑の声

 「人流抑制ではなく人数制限」「ステイホームなんて必要ない」。19日、東京都などのまん延防止等重点措置を了承後、政府分科会の尾身茂会長がそう発言すると反発が起きた。小池百合子都知事は「人流と人と接触する機会の削減が重要」と苦言。全国知事会長の平井伸治鳥取県知事も「知事会で困惑の声が上がっている」と懸念を示した。
 確かに、政府の基本的対処方針は、重点措置中の「不要不急の帰省や旅行など都道府県間の移動は極力控える」よう明記する。
 これに対し、尾身氏は「対処方針は基本で実態に応じて対策は変える」との見解で、パーティーなどマスクや換気なしの集まりが感染拡大の中心だとして、控えるべき外出先は「リスクの高い場所」と指摘。25日も記者団に「広範で一律の外出自粛は今は必要ない」と明言した。分科会のメンバーも「人流抑制が必要ないという意見は正しい。より効果的でデメリットが少ない対策はある」と尾身氏に賛同する。

◆第5波までとは異なる形の提言

 政府や都は重点措置によって外来診療の機能不全を防ごうとしているが、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」は、デルタ株の第5波までとは異なる形の提言を21日に公表した。
 オミクロン株は「感染してから次の人にうつすまで約2日で、基礎疾患や肥満がない50歳未満の多くは自宅療養で軽快している」とし、「重症化リスクが低い人は医療機関を受診せず自宅療養を可能とする」との提言だ。
 若者の受診控えにつながりかねない試みについて、尾身氏は「市民から反発が来るという意見もあり、非常に悩んだが、問題意識として投げかけるのが専門家の役割」と説明。提言を受け、厚労省は「40歳未満で基礎疾患や肥満がないワクチン2回接種済み者」が、自主検査の上で受診しないことも可能とした。

◆「交通機関が止まる事態になれば…」

 オミクロン株の濃厚接触者の激増で、医療、介護、教育、交通などが人員不足で停止する危機が目前に迫る。専門家は濃厚接触者の待機期間を、従来の14日間から7日間に変更可能と提言したが、厚労省はより長い10日間に変更。社会機能維持者(エッセンシャルワーカー)は検査陰性の場合、短縮できるとした。
 「われわれはリスクを許容しようと提言した。(キット不足で)検査ができなくなり交通機関が止まる事態になれば、(政府も)10日間など言ってられなくなる」。専門家組織のメンバーの1人はそう話す。
 外出自粛を巡る知事らの反発については「電車や新幹線で感染爆発したことはなく、県境の移動制限は意味がない。政府が対処方針を変えないから知事は指示せざるを得ない。政府はまだ『そこまでのリスクを取れない』という判断なのだろう」と推測した。

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