都内感染拡大で一般診療あおり コロナ対応病院、ベッド足りず 入院・手術先延ばし、救急停止も

2022年1月28日 06時00分
 東京都の新型コロナウイルス感染者は27日、過去最多の1万6538人が確認され、病床使用率は44・4%と、都が緊急事態宣言の要請を検討する目安の50%に近づいている。各病院はコロナ患者の対応に重点を置いて警戒を強めているが、そのあおりで一般の病床は不足。入院の先延ばしや救急患者の受け入れ停止など影響が出始めている。(加藤健太)

救急外来で慌ただしく受け入れ準備をする看護師ら=24日、東京都大田区で(大森赤十字病院提供)

 「コロナの入院患者は毎日2~3人ずつ増えている」。大森赤十字病院(大田区)では、40床あるコロナ病床に60~90代の25人が入院する。肝硬変や肺気腫など重症化リスクが高くなる基礎疾患がある人ばかりだが、26日時点で重症者はいない。コロナ対応のリーダーを務める消化器内科の井田智則医師は「今はむしろ一般診療の方が大変な状況だ」と明かす。

◆治療延期にがん患者不安

 コロナ病床を作り出すため、24日からは一般病床を100床減の約250床まで減らした。稼働率はほぼ100%で、井田さんは「入院で様子をみたい胆道炎の患者さんがいたが、ベッドに空きがないので外来で経過観察している」と話す。早期がんの内視鏡治療を予約していた人には治療の延期を受け入れてもらった。患者は「延期して病気が進行しないか」と不安を見せたという。
 例年、冬季は脳卒中や心筋梗塞などの救急患者が多くなる。同病院では、感染が落ち着いた昨年11月には1日約20人を受け入れていたが、中瀬浩史院長は「一般病床が少なく、全く受け入れられない日も多い」と漏らした。
 感染症指定医療機関に指定されている都立駒込病院(文京区)では、コロナ患者用に都内で最大規模となる181床を用意している。入院患者は60人を超え、庶務課の石井隆史課長は「酸素投与が必要な高齢者の入院が増えてきている」と警戒感を示した。
 同病院では人員をやりくりするため、昨夏の「第5波」からコロナ以外の診療を従来の6割に制限。ここでも、がん患者の手術を延期するなど一般診療への影響が広がっている。

◆救急受け入れ待ち、過去最多に

モニタリング会議後に取材に応じる東京都の小池百合子知事

 感染状況を分析する都のモニタリング会議では27日、オミクロン株がまん延した今年1月以降の入院患者のうち、酸素投与が必要な中等症以上は15%で、軽症等が85%と報告された。第5波の昨年8月は、中等症以上が7割を占め、傾向が異なる。一方で救急隊が5つの医療機関に要請するなどしても受け入れ先が決まらないケースは過去最多の1日約246件に上り、コロナ以外の脳神経外科や整形外科などで目立っている。
 モニタリング会議の予測では、2月3日には1日のコロナ感染者が約2万4000人に上る恐れがあり、東京都医師会の猪口正孝副会長は「コロナ用の病床が一般に戻せるようにならないと、通常医療は根本的にはよくならない」と改善の難しさを語った。

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