深いことを、やさしく

2022年1月29日 08時09分
 本紙は毎週日曜日に「週のはじめに考える」と題する社説を掲載しています。日々の社説とは異なる「ですます」調の長い社説です。
 前回二十三日付は「『過去』を支配させるな」でした。ナチス・ドイツが大虐殺を行ったポーランドのアウシュビッツ収容所の生還者の証言を題材に、歴史を改ざんする動きに警鐘を鳴らす内容です。
 見出しの「過去を支配させるな」は、作家ジョージ・オーウェルが「1984」に記した警句<過去を支配する者は、未来を支配する><現在を支配する者は、過去を支配する>にちなみます。
 読者の皆さんから早速「感銘した。特にオーウェルの言葉が印象深かった」「悪事を見つめて反省につなげようというオーウェルのことが分かりやすく書かれていた」などの反響がありました。
 「週のはじめに考える」の掲載を始めたのは、今から四十年以上前の一九七九(昭和五十四)年七月十五日、日曜日です=写真。当時の紙面は「読者とともに時事問題の本質を考えるものとし」「日常個々の事象から一歩離れ、時事を流れとしてとらえて、問題の背景、底流をさぐりたい」と説明しています。
 週に一度、日曜日に少し立ち止まって深く考え、本質に迫る。「ですます」調にしたのも、堅苦しくなりがちな内容を、一人でも多くの読者に読んでもらおうという、先人の工夫のひとつでしょう。
 作家の井上ひさしさんは生前「ぼくが好きなのは、東京新聞の日曜日の社説です。あまり軽薄にその時代時代の言葉を追い駆(か)ける必要はありませんけれども、やさしく書くということが一番大事だと思うのです。やさしく深いことがどれだけ書けるかということです」と話しています。
 深いことをやさしく書くということは、言うはやすく行うは難しで、私たちは日々、頭を悩ませています。さて、あすの「週のはじめに考える」はどんな内容に? 朝刊をぜひお読みください。 (と)

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