容疑者「死にたい」と捜査員に話す 死亡医師は至近距離から銃弾受けたか 埼玉の立てこもり事件

2022年1月29日 20時38分
立てこもり事件があった現場付近で、警戒を続ける警察官=28日午後0時32分

立てこもり事件があった現場付近で、警戒を続ける警察官=28日午後0時32分

 埼玉県ふじみ野市の立てこもり事件で、殺人未遂容疑で逮捕された住人の無職、渡辺宏容疑者(66)が県警の調べに「母親が死に、この先いいことがないと思った。自殺しようと思ったが、自分一人でなく先生やクリニックの人も殺そうと考えた」と供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。渡辺容疑者は立てこもっている間、捜査員に「死にたい」と話すこともあったという。自傷行為の痕などはないという。
 県警は29日朝、容疑を殺人に切り替えて渡辺容疑者を送検した。また、同日の司法解剖で、人質となって犠牲になった医師の鈴木純一さん(44)の死因は心破裂と判明した。至近距離から銃弾を1発受け、即死だったとみられる。
 事件は27日午後9時ごろに発生した。渡辺容疑者は鈴木さんを人質に立てこもり、約11時間後の28日午前8時ごろ、捜査員が突入して渡辺容疑者を逮捕。鈴木さんは心肺停止の状態で保護され、搬送後に死亡が確認された。理学療法士の男性(41)も撃たれて重体となっている。
 県警によると、渡辺容疑者の母親(92)は鈴木さんが経営するクリニックの訪問診療を受け、事件前日の26日に死亡した。病死とみられ、鈴木さんがみとっていた。渡辺容疑者は「(クリニックに)お世話になって5、6年ほどになる」と供述しているという。
 事件当日、鈴木さんら7人は渡辺容疑者に呼ばれて容疑者宅を訪問。1階の6畳間で襲われたとみられる。渡辺容疑者は散弾銃2丁や催涙スプレーを所持していたが、うち1丁はその場にいたスタッフが取り上げて逃げたという。残る1丁は逮捕時、1階6畳間の母親の遺体があるベッドの上にあった。
 渡辺容疑者は立てこもっている間、鈴木さんの状態を「大丈夫だ」「救出してもらいたい」と言ったり、逆に「全く動かない」と言ったりしていたという。既に死亡していたとみられるが、県警幹部は「当時は容疑者の発言がうそか確認するすべがなく、生きている前提で動いていた。相手が散弾銃を持っていたことも、強行突入がなかなかできなかった理由」と述べた。(杉原雄介)

関連キーワード


おすすめ情報

社会の新着

記事一覧