ブルキナファソに定年後の人生ささげる 「食に困らず、争いのない国に」 川崎の男性が農業支援で勲章

2022年1月29日 16時00分
 政情不安が伝えられる西アフリカ・サハラ砂漠南部のブルキナファソの状況に胸を痛めている一人に、川崎市の永田真一さん(71)がいる。貧困を解消しようと農業支援や学校建設などに取り組み、昨年末に同国から勲章を授与されたばかり。「食に困らずに暮らせる、争いのない国にしたい」と願い、コロナ下でも支援を続けてきた。「平和裏に解決してほしい」と祈っている。(竹谷直子)

永田さん(中央)が開校した農業専門学校の、1期生、先生との記念写真

 ブルキナファソは国民生活の豊かさを示す「人間開発指数(HDI)」が189カ国中、下から8番目の182位(2019年)。永田さんとの縁は15年、同国の青年サワドゴ・サイドゥさん(36)との出会いから始まった。
 永田さんは、建設会社などで勤め、定年後はアンティーク商を営んでいる。東日本大震災後は社会貢献にも力を傾け、復興支援のNPO法人に所属。大学卒業時からの「いつか海外で働きたい」という思いを募らせていた中、同NPOも参加した会合で、日本人と結婚して日本に滞在していたサイドゥさんと顔を合わせたという。
 豊かではないのに隣国マリからの難民を受け入れ、食糧支援もしているとサイドゥさんから聞いた永田さん。ブルキナファソ国民の精神に感銘を受け、貯金を取り崩すなど自己資金を投じての支援を始めた。
 ブルキナファソの主産業は農業で、綿花、アワなどやせた土地でも栽培できるものが中心だ。永田さんは同じくやせた土地で栽培できる大豆に目を付け、サイドゥさんや現地企業と協力して農業支援を開始。組合方式を導入して大豆の種を農家1000軒に配るなどした。「栄養価の高いものを作って生活の質を上げよう」。永田さんが常に視野に入れるのは貧困の解消だ。
 サハラ砂漠南部の地域では、国際テロ組織アルカイダや過激派組織「イスラム国」(IS)の勢力が台頭し、テロ活動が活発化している。21年6月には、ブルキナファソ北部の村が武装集団に襲われ、約130人の住民が殺害される事件も起きた。永田さんは「食べるものがなく、仕事もない。貧困が要因になり、若者らがISなどの戦闘員に加わっている」と話す。
 若者の生活水準向上へ、同月に寄付を募って農業専門学校を開校。永田さんが学費を工面して、44人の学生を迎え入れた。ホロホロ鳥の飼育方法など養鶏の基礎も教えている。卒業生の中から数人を選んで、開業資金を貸す創業支援も行う。「返金されたお金を次の世代に回す。国中にファームができるように育てていきたい」

昨年12月に勲章を授与された永田さん(手前右)=ブルキナファソで(永田さん提供)

 叙勲は昨年12月にブルキナファソであり、永田さんと活動を共にするサイドゥさんらにも勲章が授与された。在日ブルキナファソ大使館のパスカル・バジョボ特命全権大使は「永田さんの大豆は、ブルキナファソの子どもの栄養や女性らの働く場の提供に貢献している」と語る。
 国内では混乱が続き、23日には兵士らが大統領にイスラム過激派に対抗するための軍備強化などを求めて反乱を起こし、24日には政権掌握を宣言している。永田さんは「現地の人とも連絡が取れず、心配している。平和裏に解決するのを待って活動を再開したい」と話している。
 永田さんは、私財のほとんどをブルキナファソへの支援に費やしてきており、今後の活動のための資金も募っている。問い合わせは永田さんのメール=f-cole@dh.catv.ne.jp=へ。

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