聖火リレーは封鎖区域内でたった3日間…コロナ対策?抗議活動封じ? 北京五輪開幕まで1週間足らず

2022年1月29日 11時56分
 【北京=中沢穣】北京冬季五輪は2月4日の開幕まで1週間を切った。しかし大会を盛り上げるはずの聖火リレーは規模を大幅に縮小し、同2日から3日間、封鎖区域で行う。新型コロナウイルス対策のためとされるが、中国当局には人権問題などへの抗議活動を封じられるという利点もある。米国などが外交ボイコットを表明して政治的圧力を強める中、「平和の祭典」は急ピッチで準備が進む。

専用道路に描かれた五輪マーク=北京で(木戸佑撮影)

 大会組織委によると、聖火リレーは競技会場のある北京市と河北省張家口のみで実施する。約1200人の聖火ランナーが、世界遺産「万里の長城」など11カ所の区域を走る。ランナーだけでなく、限られた人数が招待される観客にもワクチン接種などを求めた。
 組織委幹部は「大会を成功させるため、安全を優先した」と説明している。
 だが、規模縮小には市民からも「極端ではないか」との声が漏れる。同じくコロナ禍の中で行われた昨年夏の東京五輪では、聖火リレーが約4カ月にわたり日本各地を回った。史上最長の聖火リレーだった2008年の北京夏季五輪では130日かけ、五大陸と中国国内の隅々まで巡った。
 その08年のリレーで、中国には苦い経験がある。国内は厳戒警備でしのいだものの、国外では中国のチベット政策に対する抗議活動が相次いだ。パリのリレーは途中で打ち切られ、日本でも中国人応援団とチベット支援者の小競り合いで逮捕者が出た。混乱を受け、国際オリンピック委員会(IOC)は聖火リレーの国際ルート廃止を決めた。
 今回は、新疆しんきょうウイグル自治区の少数民族ウイグル族に対する弾圧が国際的な批判を浴びる。「聖火リレーに伴う抗議活動の封じ込めは当局にとって課題だったはず」(中国メディア関係者)との見方が出ていた。
 一方、国外からの批判が中国の人権状況を改善させる可能性は乏しい。米国などは開会式に政府関係者を派遣しない外交ボイコットを表明したが、中国政府は「新疆に人権問題は存在しない」(外務省)と真っ向から否定。議論はかみ合わないまま本番を迎える。

◆開会式は「鳥の巣」

 4日の開会式は08年に続いて北京市の国家体育場「鳥の巣」で行われ、総合演出は映画監督の張芸謀チャンイーモウ氏が再び務める。中国中央テレビの取材に応じた張氏は式典が簡素化されると明かしつつ、「中国人の世界観を伝え、それが人類が共有する世界観であると感じてもらう」と、国威発揚の意図を隠していない。

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