連合、立憲民主が参院選で共産と連携すれば「推薦せず」? 共産アレルギーの芳野会長は自民に接近

2022年1月31日 06時00分
 旧民主党時代から現在の立憲民主党まで、最大の後ろ盾として存在感を発揮してきた労組団体の連合。夏の参院選に向けた姿勢を表明する基本方針の素案に、共産党と連携する候補者を推薦しないと受け取れる文言が盛り込まれ、波紋を広げている。たたき台の位置づけで、内容を正式決定するのは2月中旬だが、支持政党は明示されておらず、一致協力して自民党と対峙してきた立民側には困惑の声が出ている。(我那覇圭、市川千晴、井上峻輔)

◆衆院選から一変 支持政党も明示せず

 「現在、産別(連合傘下の産業別労働組合)にヒアリングを行っているのでコメントは控えたい」。連合の芳野友子会長は26日、東京都内で記者団の取材に応じた際、素案に関する本紙の質問に回答を避けた。反響の大きさに、神経をとがらせているのは明らかだった。
 素案は参院選の対応に関し、共産を念頭に「目的が大きく異なる政党や団体等と連携・協力する候補者は推薦しないという姿勢を明確に示す必要がある」と記載。支援の方針では「人物本位・候補者本位で臨む」と打ち出した。
 昨年10月の衆院選の基本方針で「立民を連合総体として支援」と明示し、同じく後押しする国民民主党は「候補者を支援」と盛り込んだのとは対照的だ。

◆芳野会長 共産との共闘は「あり得ない」

 立民が共産に接近し、小選挙区で野党の候補者一本化を進めながら敗北した衆院選の後、連合は共産への態度を一段と硬化させた。衆院選直前に会長に就任した芳野氏は、共産との共闘は「あり得ない」と強調。背景には、共産に近い別の労組団体との長年にわたる確執などがあるとみられ、素案は立民に軌道修正を促していると受け取れる。
 連合の姿勢の変化は衆院選でも表れていた。愛知11区では、傘下の全トヨタ労組連合会の支援を受ける野党系の無所属前職が突然、立候補を見送る意向を表明。旧民主党時代から守ってきた議席を自民に明け渡す結果となった。
 今月初めには、連合の新年交歓会に岸田文雄首相が政権トップとして9年ぶりに出席。その後、芳野氏が首相官邸に謝意を述べに出向くなど、自民との距離を縮めている。

◆一人区 「共産と連携しなければ勝てない」との声も

 立民は、表向きは素案に対して静観の構えだ。泉健太代表は28日の記者会見で「最終的にどうなるか見なければいけない」と話すにとどめた。
 だが参院選は32ある改選一人区が勝敗の鍵を握る。野党候補の一本化が前提になるため、連合の姿勢に党内はざわつく。ベテラン議員は「芳野氏は何を考えているのか」といぶかり、中堅議員は「参院選には連合出身の現職や新人も立民から立候補するのに、支持政党を書かないのはおかしい」と不満を漏らした。
 共産との協力を既定路線に参院選の準備を始めている地域もある。泉氏は「最大限、一本化を図っていく」と明言。党内にも「共産と連携しなければ勝てない」との声は強い。共産の志位和夫委員長は27日の会見でも、両党間の早期協議入りを求めた。立民執行部は連合に配慮しながら、選挙戦略を練るという難しい対応を迫られる。
 法政大大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)の話 素案は共産へのアレルギーがある芳野会長のカラーが色濃く出ている印象だ。岸田首相と会ったりするのは、時には自民も使いながら、要求を実現するタイプだからだと思う。素案のままなら連合の組織票が立民以外に流れる可能性が高く、改選一人区でも野党連携ができずに状況は厳しくなる。

関連キーワード


おすすめ情報