日当たり悪く狭いオリで長年ぐったり…SNSで批判も 千葉県館山市・城山公園の母ザル、ようやく引っ越し

2022年1月31日 07時31分

さび付いた狭いオリから、ようやく広いオリに引っ越すことができた母ザルのラン=いずれも館山市の城山公園で

 館山市の城山公園の一角で飼育されているニホンザルの親子のうち、母親のラン(二十九歳)が昨年十二月、長年幽閉されていた狭いオリ(高さ一・八メートル、面積三・三平方メートル)から新たなオリ(高さ二・五メートル、面積一八・四八平方メートル)へと移り、元気を取り戻したように動き回っている。市民や動物愛護団体からの「虐待だ」と心配する声に押され、市がようやく引っ越しを実現した形だ。娘のジョー(二十一歳)については専門家と相談し、今後の処遇を決める。(山田雄一郎)

ランが以前、飼育されていたオリ。土を踏めない構造で、ぐったりして寝転ぶ様子が目撃されていた

 市によると、オリのある一帯は一九六八(昭和四十三)年、地元の子どもたちに動物と触れ合う機会を持ってもらおうと、孔雀(くじゃく)園としてオープン。館山城に向かう坂道沿いのロケーションで、城を見物するついでに立ち寄る人が多く、他の動物も展示されるようになった。九四年ごろ、東京・上野動物園からランとオスの二匹を迎え入れ、二〇〇一(平成十三)年にジョーが誕生。オスは翌年死んだが、ランが育児放棄したためジョーとは別々のオリで飼育されてきた。
 いずれのオリも日当たりが悪い上、老朽化でさびつき、社会性の高いサルには過酷な飼育環境となった。ランのオリは床にふん尿が落ちる鉄棒のパイプ式で、土に触れることがまったくできない構造だった。ジョーのオリもランより広いとはいえ、床はコンクリートの斜面で、こちらも土を踏めない状況だ。

古いオリに入れられたままのジョー。新たなオリへの移転が今後の課題だ

 オリの中でぐったりするランとジョーを目にした人からは「かわいそう」「動物福祉に反する」といった声が上がり、一八年ごろからはツイッターなどSNSで批判が拡散。動物愛護団体も改善を要求したが、市は予算上の問題から難色を示したという。市は他の動物園に引き取りを打診したが、管理が難しいことから話は前に進まなかった。
 こうした中、現地を調査した安房保健所が、ランのオリが一重扉である点について「サルの脱走を防ぐため二重扉にするように」と市を行政指導。市はランをどこかに移す必要に迫られた。
 二〇年三月、市は孔雀園を閉鎖し、三十三羽のクジャクを地元の観光施設「アロハガーデンたてやま」に無償譲渡。空いたクジャクのオリを修繕し、二重式のオリに造り替えた。ランは昨年十二月二日、さびついたオリに別れを告げ、新たな生活を始めた。
 市都市計画課は「土の地面を歩くなど行動範囲が広くなり、ランが少し生き生きしているように見える。穏やかな環境整備に努めたい」としている。ランが他界した後はジョーを同じオリに移すことを想定中だ。
 認定NPO法人アニマルライツセンター(東京・渋谷)の岡田千尋代表理事は「いつ寿命を迎えてもおかしくないランちゃんが、最後の最後に良い場所に移れた。改善してくれた館山市に感謝します」とコメントした。

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