市民「沈黙」で抗議 ミャンマー・クーデターから1年 国軍、あらためて正当性を強調

2022年2月1日 22時09分

仕事を休み、外出を控えて抗議の意思を示す「沈黙のストライキ」で人気のなくなったミャンマー中部の都市 マンダレーの街(AP)

 【バンコク=岩崎健太朗】ミャンマーは1日、国軍のクーデターから1年を迎え、がテレビ演説であらためて統治の正当性を主張した。民主派の市民らはで、国内外に「民主主義の回復まで抵抗は続く」とアピールした。
 街頭デモは暴力的に制圧されるため、経済、社会活動をストップさせて抗議の意思を表明した。現地からの情報によると、最大都市ヤンゴンの主要通りは車や人通りが激減した。ただ、国軍の報復を恐れて営業する店もあったほか、一部の国軍支持者が集会で気勢を上げたという。
 カフェ店主のイェトゥンさん(45)は「『休業したら店を没収する』と脅されたので開けているが、商品を用意していないので客は来ない。私なりの抵抗だ」と語った。
 アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)など民主派が設立した挙国一致政府(NUG)のドゥワラシラー副大統領は、ソーシャルメディアでの演説で「軍事独裁が支配する限り、この国に平和や安定はない。自由、公正、平等のある発展した国をつくるためには国軍を一掃するしかない」と呼び掛けた。

テレビ演説で軍事政権の正統性を強調するミンアウンフライン総司令官(AP)

 一方、ミンアウンフライン総司令官はテレビ演説で、NUGが若者らを武装闘争に駆り立てているとし「罪のない人々が殺され、政府の財産が破壊されている」と批判。混乱収拾に向けて「東南アジア諸国連合(ASEAN)や国連の特使との協力に最善を尽くす」と述べたが、拘束中のスーチー氏との面会を認めない考えを示している。国軍は1月31日に非常事態宣言の半年延長を決定した。

◆国軍の予想を超えた市民の抵抗

 上智大の根本敬教授(ミャンマー近現代史)の話
 国軍の予想を超えた市民の抵抗が続いている。過去の軍政下の民主化運動は「暗闇からまだ見ぬ光を求めた」が、今回は「光の中から暗闇に突き落とされた」といえる。民主的権利が虐げられる歴史が繰り返され、国際社会の働き掛けも効かず、多くが「自分たちの手でいま終わらせなければ将来はない」との思いだ。

根本敬・上智大教授

 ミャンマーは独立以来、内戦状態にあり、国軍は従わなければ自国民にも銃を向けることを躊躇ちゅうちょせず、手を緩めることはない。離脱兵も出ているが、深刻な内部分裂は見えない。
 権力維持に向け来年8月までの選挙を掲げるが、新たな選挙制度の準備や不安定な治安を口実にさらに延ばす可能性がある。さらに、実施されても誰も受け入れない。有効な手だてが見つからないまま経済はいっそう疲弊し、国民生活が悪化する情勢だ。
 人道支援を強化することはもとより、国際社会は民主派との対話などで、国軍に圧力をかけていくことも必要だ。(聞き手・岩崎健太朗、写真は本人提供)

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