コロナ休校の助成金「使いにくい」 働く保護者に支援届かないまま... 企業の同意が壁

2022年2月2日 20時22分
 新型コロナウイルスの感染拡大で休校や休園が相次ぐ中、仕事を休まざるを得ない保護者の収入を補償する国の制度「小学校休業等対応助成金」について「使いにくい」との声が上がっている。制度の利用に保護者の勤務先の協力が必要なためだ。勤務先に助成金の申請を拒否された女性が2日、東京都内で記者会見し「必要な人に届く仕組みに変えてほしい」と訴えた。(畑間香織)
 助成金は、小学校や保育園などに通う子どもの保護者が対象。休校のほか、子どもが濃厚接触者になったなどの理由で仕事を休んだ場合、その期間の賃金相当額を国が企業に支給する。有給休暇とは別の特別休暇を従業員に取得させた企業が対象で、1人あたり1日最大1万5000円を出す。

◆手取り月2500円に激減 会社は助成金申請を拒否

 会見した40代の女性は、アパレル企業の正社員として働きながら、保育園児から小学生の子ども3人を育てる。昨年9月に女性、夫、長女、長男がコロナに感染。女性が回復後も次女が自宅待機を続け、仕事を1カ月休んだ。会社は女性が感染していた間の休業手当は支給したが、それ以外は無給。月平均14万円の手取りが、この月は社会保険料を引くと約2500円にまで激減した。
 女性によると、会社に助成金の申請を求めたが、拒否された。昨年からは国に直接の申請もできるよう制度が見直された。女性も試みたが、会社の同意が必要なため協力を得られずに不支給だったという。
 女性は「多くの人が自分と同じように苦しんでいると思う」と述べた。

◆制度見直しても…「企業任せ」の運用改善が必要

 小学校休業等対応助成金は、保護者が直接国に申請できるように制度が見直されたものの、企業の同意が必要な点が利用の壁となっている。「企業任せ」の運用の改善が求められる。
 助成金の利用には企業側に金銭的負担はないが、経営者の一部は「前例がない」「従業員の間に不公平が生じる」などを理由に、特別休暇を従業員に取得させることに消極的だ。厚生労働省は申請が進まなかったため、昨年3月下旬から、保護者が勤務先の企業を通さず各地の労働局に直接申請できるようにした。
 保護者は労働局に相談し、労働局が企業に申請を働き掛けても応じなかった場合に限り、直接申請できる仕組み。会社を飛び越えて相談することにそもそも心理的な壁がある。申請書類には事業主の記入欄があり、企業が「労働者を休業させた」と認める欄への同意が必要で、1度申請を拒否した企業が書類記入に協力する保証はない。

◆厚労省「特別休暇の事実関係を確認」

 厚労省の担当者は「助成金は従業員に特別休暇を与えた事業主に出すもの」と強調した上で、申請書類に企業の同意が必要な理由については「事実関係を確認するため」と説明した。
 女性を支援する労働組合、首都圏青年ユニオンの栗原耕平氏は「特別休暇を与えることを企業に義務付けるとともに、直接申請の際は企業の協力がなくても、保護者の提出書類で事実関係を確認できる制度に変更すべきだ」と指摘する。

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