<社説>一票の不平等 是正に最大限の努力を

2022年2月3日 07時37分
 昨年の衆院選で一票の価値に不平等があったのは違憲だ−。そう訴えた裁判で高松高裁は「違憲状態」、東京高裁は「合憲」と判断が分かれた。不平等の是正に最大限の努力が必要なのは当然だ。
 昨年十月の衆院選では最大二・〇八倍の格差があった。二〇一七年の選挙は一・九八倍で最高裁は「合憲」判決を出していた。小選挙区制になり初の二倍未満で、かつ人口比に近い議席を反映できるアダムズ方式導入も決定していた。それを評価した結果でもあった。だが再び格差は二倍超に…。
 二倍とは一人一票の人もいれば、〇・五票しか持たない人もいるのと同じだ。投票価値が低い分だけ、国政への影響力が低いともいえる。高松高裁は「著しい不平等状態にあった」と断じたのに、東京高裁はそれを認めなかった。
 近年は二倍を超える不平等はすべて「違憲状態」と最高裁は判断してきた。明らかな不平等なのに、それを許容する司法判断とは何だろうか。不信を抱く。
 そもそも一票の価値に不平等があると、有権者が投じた票数が正確に議席数に反映しない。正しく国民の意思が国政に伝わらないはずである。
 憲法は投票価値の平等を求めていると解せられるし、いまや多くの法学者も人口比例に基づく選挙区割りの考え方を支持している。二倍を超す不平等がありながら、司法が「合憲」とお墨付きを与えれば、政治の側は是正の努力をますます怠るであろう。
 実際、アダムズ方式導入によってもはや「十増十減」は不可避なはずなのに、自民党などから「地方の声が届きにくい」などと抵抗の声が上がっている。
 二倍超の「著しい不平等」を素直に認め、是正を促す効果のある高松高裁判決の方が筋が通っている。「違憲状態」は現状に対する警告を意味し、十増十減は避けられないからだ。
 「地方の声」というが地域への利益誘導型政治ではいけない。国会議員は全国民の代表であり、選挙区の代表ではないからだ。地方の声を拾う方法は他にもあろう。
 多数派を形成する議員の都合のいいように選挙区割りがされないよう、むしろ投票価値の平等を最大の目標とすべきである。各議員の利害を排除し、極めて形式化された区割り方式にすれば、公正・平等な選挙が実現できよう。

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