「ジェネレーション・レフト」 アメリカで、日本で、若い私たちが政治を変える

2022年2月11日 18時00分

◆住まいすら保障されない社会を変えたいー動き出す国内の若者たち

「家あってあたりまえでしょプロジェクト」の活動をした岩本菜々さん(前列)中央ら=NPO法人POSSE提供

 国内でも「ジェネレーション・レフト」の若者たちが動きだしている。「家賃が高く、生活費を稼ぐため学生でも勉強よりアルバイトをしなきゃいけない。住居が不安定なのは若い世代に一般的な問題」と話す上智大4年の岩本菜々さん(22)はその一人だ。
 住まいすら保障されない社会を変えたい。その思いから昨年末の4日間、JR大宮駅(さいたま市大宮区)周辺で「家あってあたりまえでしょプロジェクト」を実施した。会員制交流サイト(SNS)経由で集まった協力者は若者を中心に約50人。路上やネットカフェで生活する人らに声をかけて相談に応じ、市が一時宿泊施設としたホテルに泊まる手続きに同行する。

◆社会の矛盾は自分の生きづらさにつながっている。行動しないとヤバい…

 岩本さんは2020年3月、新型コロナウイルスの影響で交換留学先のチェコから帰国。半年ぶりの日本で見聞きしたのは、非正規労働者の雇い止めや、看護師らの低賃金の実態、一斉休校による女性への負担…。「コロナ禍で噴き出した社会の矛盾は、自分の生きづらさにもつながっている。何か行動しないとヤバい」と思った。

生活困窮者の支援活動について語るNPO法人POSSEの岩本菜々さん

 労働問題に取り組むNPO法人「POSSE(ポッセ)」(東京都世田谷区)の学生ボランティアに参加。ポッセによると、コロナ禍で学生ボランティアには約250人から問い合わせがあり、その8割が女性だった。「男性優位が根強い日本で生きづらさを感じるのは女性。コロナ禍で自由時間が増え、社会の課題に目を向けた学生が多かったのでは」と渡辺寛人事務局長は話す。海外にルーツをもつ若者や留学経験者が多いのも特徴という。
 岩本さんは、ポッセの生活・労働相談の窓口で「就職した会社は長時間労働、パワーハラスメントが横行」「退職と同時に社員寮を出され家もない」「実家と折り合いが悪くて頼れない」といった20~30代の声を聞いた。「現状では良い未来を期待できない世代だからこそ『変えられる』と示したい」と意気込む。

◆私たちは、格差への怒りや生きづらさを力に変えていける世代

 昨年末の「家プロジェクト」では、市と交渉して利用できる部屋数を増やしてもらった。「行政に頼るもんか」と話していた男性はホテルに泊まった翌日、「落ち着いて今後を考えられた」とほっとした表情を見せた。岩本さんは「制度が必要な人がいると明らかにし、使えるようにする。小さいけど、行政を変えられた」と手応えを感じる。
 とはいえ、声を上げる若者はまだまだ少ない。「ジェネレーション・レフトと呼ばれることは光栄。私たちは、格差への怒りや生きづらさを力に変えていける世代です」。活動の広がりに期待を寄せる。(奥野斐)
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 深刻さを増す「分断」の現場を各地に取材し、民主主義を再生する道筋を今年も探り続けます。
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