アベノマスク「送料10億円」の衝撃 在庫8000万枚 「不織布」なら街で3倍の量は買えるのに…

2022年2月4日 06時00分
 送料10億円也。安倍晋三元首相の主導で政府が調達した布製の「アベノマスク」を希望者に送る費用で、衝撃的な試算が出た。もちろん税金を充てることになる。これほど費やしても配るのは約8000万枚。同じ金で不織布マスクを3.4倍は買える。まさに無駄を重ねる愚行だ。「もっと早く(募集を)やればよかった」とのたまわった安倍さん。あなたが送料を払い、税の無駄遣いをやめませんか。(中沢佳子)

◆手指消毒液164万個分、PCR検査3万回以上

 10億円で何が買えるのか。まずは布製マスクより感染防止効果が高いとされる不織布マスク。大手100円ショップで、30枚入り110円(税込み)で売っている。ということは、約2億7000万枚余り買える。
 大手ドラッグストアが609円(同)で扱う400ミリリットルの置き型手指消毒液なら、およそ164万2000個分。検査希望者が増えているPCR検査はどうか。都内のクリニックで自費診療の場合、1回1万円未満から3万円台とばらつきがある。仮に高めの3万円としても、およそ3万3300回分にはなる。
 これだけのカネをかけて政府推奨の不織布、ではない布製のマスクを配る。いかがなものか。
 「ナンセンス。いろんな素材や形状のマスクに対して感染防止効果の評価がされている。でも、あの小さな布マスクは、評価する対象にすらなっていない」。国立感染症研究所の元研究員で、福島県立医科大の原田文植助教(内科)は一刀両断にする。
 原田さんは、アベノマスク自体、感染防止より、安倍さんのPR的側面が強かったと感じている。「どう使えばいいか?うーん…肌が敏感な人が不織布の下に着ける、ぐらいかな」

◆「安倍さんなら払えるのでは?」

 アベノマスクは東京近郊の倉庫で、もらい手もなく約8000万枚眠っていた。大量在庫の保管費は、昨年3月までで約6億円。そこで政府は昨年末、希望する自治体や個人に配ることを決めた。とはいえ、配らずに焼却すれば、試算では6000万円で済む。それでも10億円かけますか?
 「とてつもない金額。天下の愚策を講じた上、後始末にこんなにお金をかけるなんて、前代未聞だ」と明治大の西川伸一教授(政治学)はあきれる。「これまでの経緯や情報を国民に示し、謝罪するのが、政治家の責任。官僚だって、処分のほうが安く済むと分かっていたはず。政治家を止められないのは、官の劣化だ」
 巨額の無駄遣いを見過ごせないと思う人もいるだろう。西川さんは「安倍さんなら(送料全額を)払えるんじゃないかな。そもそも、責任は彼にある。国民が怒りをぶつけ、声を上げるのも一手だ」と訴える。

◆「これ以上、無駄を重ねるのはおかしい。処分を」

 投資の世界では、時に損失覚悟で値下がりした金融商品を手放す「損切り」をすることがある。未練がましく持ち続けて損を膨らませる「塩漬け状態」を避け、失敗を糧に新たな取引へと進むためだ。アベノマスクはまさに損切りが必要な状況ではないか。
 アベノマスクの契約を巡る政府文書の情報開示請求をした神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)は「これ以上、無駄を重ねるのはおかしい。処分しかない」とばっさり。さらに上脇さんは「なぜ、あんな物を調達し、大量の在庫を出したのか。そんな役に立たない物を、どうして今さら希望者を募って配るのか。在庫がはけて終わり、じゃない。問題の本質を忘れず、検証し、責任を取らせないと」と語った。

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