<食卓ものがたり>甘酸っぱい味に夢乗せて ゆめのか(愛知県)

2022年2月5日 07時48分

鮮やかな紅色の「ゆめのか」を見せる佐藤進さん=愛知県津島市で

 紅色をした大粒のイチゴをかじると、パリッとした食感の後、甘酸っぱい汁がじゅわっと噴き出す。愛知県のオリジナル品種「ゆめのか」。寒さが厳しい今が旬の真っ盛りだ。
 ゆめのかは県農業総合試験場が開発し、二〇〇七年に品種登録。県西部の海部(あま)地域にある愛西、津島両市が主な産地だ。「糖度と酸味のバランスが良く、みずみずしいのが特長だね」。JAあいち海部・あまイチゴ組合の組合長、佐藤進さん(67)が教えてくれた。
 十分に熟しても果皮が硬めで、流通の過程で傷みにくい。完熟に近い状態で収穫できるのが強みだ。品種名には「みんなの夢のかなうおいしいイチゴ」という意味が込められ、受験シーズンの験担ぎとしても人気があるという。
 JAあいち海部によると、あまイチゴ組合は四つのイチゴ生産者の組織が一七年に統合してできた。現在は六十五戸が計十五ヘクタールで栽培。以前は複数の品種を作っていたが、スケールメリットを生かして競争力を高めようと、ゆめのかに一本化した。「うまくいかなかったらどうしようと不安もあった」と佐藤さん。こうした取り組みが功を奏し、面積当たりの販売額は向上した。
 佐藤さんは高校卒業後、ハウスメーカー勤務を経て二十一歳の時に父の代からのイチゴ生産の仕事を継いだ。こまめな摘果など地道な作業が多い上、天候の影響など不安定な面もあるが「努力した分だけ、自分に返ってくる仕事」。半世紀近く、イチゴ一筋でノウハウを磨いてきた。
 佐藤さんによれば、昔は練乳をつけて食べるイメージだったが、今は改良が進み、甘いのが当たり前だ。「舌の肥えた消費者に選んでもらうため、もっとおいしいイチゴを作りたい」。作り手としての夢は、まだまだ膨らみそうだ。
 文・写真 河郷丈史

◆味わう

 あまイチゴ組合では、11月から翌年5月までゆめのか=写真=を収穫し、愛知県内のほか、奈良や新潟の市場にも出荷。各地のスーパーなどで買うことができる。酸味もあるため、甘いスイーツとの相性もいい。
 例年、需要のピークはクリスマスだが、甘みが乗っておいしいのは寒さが厳しい1〜2月。へたに近い部分から食べるのが、おいしく味わうこつだ。イチゴは先端にいくほど糖度が高くなるため、最後の一口がより甘く感じられる。

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