止まらぬアメリカの銃犯罪 死者はコロナ前から5000人以上増

2022年2月5日 18時32分
 【ニューヨーク=杉藤貴浩】銃大国の米国で、新型コロナウイルスによる社会不安などを背景にした銃犯罪の増加に歯止めがかからない。銃規制を訴えるバイデン大統領は、治安悪化に悩む東部ニューヨーク市を訪問。政権浮揚も意識し、警察力の強化や密売ルート撲滅などの取り組みを強調した。

1月24日、ニューヨーク市の銃撃事件現場近くで、同僚の死を悼み、キャンドルに火をともす警官=AP

◆治安対策は中間選挙の争点に

 ニューヨーク市では先月下旬の銃撃事件で警官2人が相次ぎ殉職した。3日、アダムズ同市長やニューヨーク州のホークル知事らと会談したバイデン氏は「この国では毎日316人が撃たれ、106人が殺されている。もうたくさんだ」と止まらぬ犠牲に憤りを見せた。
 非営利団体「ガン・バイオレンス・アーカイブ」によると、全米の昨年の銃による死者数は自殺を除いて2万803人。前年から約1300人増え、コロナ拡大が始まる前の2019年からは5000人以上の急増となった。コロナ禍による経済難や先行き不安が要因の一つとみられ、治安対策は11月の中間選挙でも主要な争点となる。

◆バイデン政権、密売ルートの取り締まりを強化

 このためバイデン政権は同日、警察組織への予算増額や「鉄のパイプライン」と呼ばれる銃規制が緩い南部から東部などへの違法な銃の売買ルートの取り締まり強化を発表。製造番号がなく追跡が難しい自作銃「ゴーストガン」による犯罪については積極的に摘発する方針を示した。
 とりわけ警察力の強化は、警察予算の削減による地域社会への支援拡充を訴える民主党左派とは一線を画す姿勢で、治安悪化を巡る共和党からの批判に対抗する狙いをにじませた。
 ただ、実効性のある対策の実現には法案成立を必要とするものも多く、銃規制に消極的な共和党の抵抗は必至。バイデン氏は「議会も役割を果たさなくてはならない」と訴えた。

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