子宮筋腫ある人増加 腹腔鏡手術で負担軽減 入院6日間「開腹」の半分

2022年2月8日 09時09分
 三十歳以上の女性が、三人に一人の割合で発症する子宮筋腫。子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、大きくなると月経量が増えたり、不妊になったりといった症状を引き起こす。症状が重い場合は筋腫や子宮の摘出手術が必要となるが、近年は腹部に小さな穴を開ける腹腔(ふくくう)鏡手術が主流。開腹手術に比べて患者の負担は少ない。 (河野紀子)
 「重い生理が劇的に良くなった」。二〇一七年夏、腹腔鏡手術で筋腫を取り出した大阪市の会社員女性(37)は言う。
 二十八歳の時の子宮頸(けい)がん検診で、数センチ程度の筋腫が二つあることが判明。当時は自覚症状はほとんどなく、医師からは年一回の経過観察を続けるよう言われた。しかし、やがて筋腫二つはつながって、こぶし大に。生理時にはレバー状の血の塊が出た。量も増え、一番大きいナプキンを使っても一時間半持たないほど。筋腫が膀胱(ぼうこう)を圧迫して頻尿にも苦しんだ。
 手術は四時間程度で済んだ。「腹部に穴を開けるだけなので回復が早かった」と振り返る。

◆不妊や流産 危険も

 筋腫ができるのは、子宮の外側表面を覆う漿膜(しょうまく)、筋層、子宮の内側を覆う粘膜=図。大きさは、米粒程度から二十センチ超までさまざま。数も数個の人もいれば、数え切れないほどある人もいて個人差が大きい。原因は不明で、月経に関与する女性ホルモンが影響することが分かっている。閉経して女性ホルモンが減ると、小さくなる。悪性化することはない。
 昔に比べて出産回数が減って月経回数が増えた分、子宮筋腫のある女性は増えている。「子宮頸(けい)がん検診や妊娠時の内診で見つかるケースが多い」。愛知医科大(愛知県長久手市)産婦人科学講座主任教授の若槻明彦さん(63)は言う。症状は軽い場合が多く、数カ月ごとに受診して様子を見る例がほとんどだ。
 ただ、筋腫のある場所や大きさによっては、受精卵の着床を妨げるなどして不妊や流産のリスクが高まるため、妊娠を望むなら早めの治療が大切だ。妊娠を希望しなくても「貧血を起こすほど月経が重いなど、筋腫の大きさが五、六センチ以上で症状があるなら治療を検討してほしい」と話す。

◆小さな穴から摘出

 治療は、女性ホルモンの分泌を抑えて筋腫を小さくする点鼻薬や内服薬もあるが、長期間使うと骨粗しょう症を招く恐れがあるため手術が基本。筋腫だけを取る「筋腫核出術」と、子宮ごと取る「子宮全摘術」がある。ただ、筋腫だけの場合は15〜30%の割合で再発するとされ、妊娠を希望しないなら全摘出を検討する。子宮を取ることで更年期障害の症状が出るのではないかと心配する人もいるが、残った卵巣が女性ホルモンを分泌するためリスクは上がらない。
 近年主流になっている子宮筋腫の腹腔鏡手術は、腹部に数カ所穴を開け、鉗子(かんし)などを入れて摘出する方法。愛知医科大病院は県内最多の年間約二百件を実施する。腹部を大きく切開せずに済むため、入院は約六日間、術後二週間ほど療養すれば仕事にも復帰できるといい、日数は開腹手術の半分ほどで済む。
 若槻さんは「筋腫が大きすぎるなどわずかな例を除き、腹腔鏡手術が可能」と説明する。公的医療保険が適用され、費用は三割負担なら約二十五万円。年齢や所得に応じて自己負担に上限を設ける高額療養費制度を使えば、平均的な世帯の場合、約九万円という。

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