<ミロ展 日本とのつながり>(2)筆や墨を積極的に使用 《ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子》1945年 

2022年2月9日 07時34分

ジョアン・ミロ 福岡市美術館 1945年 油彩、キャンバス 福岡市美術館 © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304

 ミロは20世紀の激動の世界情勢に翻弄(ほんろう)されながら90年にわたる人生を歩んだ。
 1936年にスペイン内戦が勃発し、故郷バルセロナを離れ第2の制作拠点であったパリに移るも、39年に第2次世界大戦が開戦。家族とともに戦禍を逃れて妻の故郷であったマジョルカ島に移住した。ここでミロは大聖堂のステンドグラスから差し込む光を眺めオルガンの調べを聞くことを日課とし、孤独な生活の慰めとした。
 本作はこの時の経験から生まれた作品である。黒の背景に浮かぶ赤と緑の鮮やかな対比は大聖堂の神秘的な雰囲気を想起させ、画面に踊る生物たちは音楽に身をまかせ、ゆらゆらと揺れ動いているかのようだ。ところでタイトルに登場するオルガンは、画面中央の毛筆風の黒い線で表されている。ミロはこの時期に日本の筆や墨を積極的に使っており、まだ見ぬ日本への憧れを膨らませつづけていた。その思いは約20年後の66年についに実現することになる。(吉川貴子=Bunkamura ザ・ミュージアム学芸員) (次回は16日掲載)

◆11日から渋谷で 

 「ミロ展」は11日から4月17日まで東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催。会期中一部日程で入場日時予約あり。詳細は展覧会公式HPへ。

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