70球の衝撃 -学童野球「投球数制限」へ-<最終回>

2019年2月6日 03時00分

「則本も完投は一度だけ」

昨年8月、高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントで初優勝し、胴上げされる多賀少年野球クラブ・辻監督

 ことしから全国大会で導入される見込みの、学童軟式野球「球数制限ルール」。賛成、反対、当惑…と、チームの反応はさまざまだが、新ルール下では、いままで以上に選手の育成や、チームづくりの重要性が増すという点は明白だ。
 昨年、全日本学童マクドナルド・トーナメントで優勝し日本一になった滋賀県の多賀少年野球クラブ=写真。いまや学童野球界のオピニオンリーダーでもある、辻正人監督のチームづくりは、まるで「70球ルール」導入の必然性を予見していたかのようだ。
「以前から選手たちの肘・肩のケアには気を使い、ひとりに過度な負担がかからない投手の育成や起用を心掛けてきた」(辻監督)という多賀は、実際に昨年8月の全国大会でも1回戦から決勝までの6試合を計7投手の継投で戦い、一番投球数の多かったエース・木戸翔大投手でも1試合平均63・5球(4試合計254球)に収めている。大会3日目にはダブルヘッダーもあったが、2日間連投は木戸投手と松井嘉希投手(4試合109球)のふたり、それぞれダブルヘッダー前後の1度だけだった。
 「おそらく反対意見として挙がるのは、ゲーム内容に関わることだと思いますが、戦い方や作戦面の話は、すべて大人の都合」とバッサリ。多賀の強さは選手の自主性を促す指導と、一つ一つのプレー、そして「勝利」という結果が、すべて根拠を持ってつながっているところにある。
 同チームの卒業生には楽天のエース右腕・則本昂大がいる。彼も小学5、6年生のときにエースとして全国大会に出場したが、すべてリリーフ登板。多賀で完投したのは「6年生最後の公式戦、甲子園球場で行われた近畿大会決勝だけです。本人の強い希望でした」と振り返る。
 70球ルール下では、突出した才能が埋もれるのでは…との懸念もあるが、辻監督は「力のある子なら、どんな状況でも出てきますよ」と言い切った。 (鈴木秀樹)

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