70球の衝撃 -学童野球「投球数制限」へ-<3>

2019年1月31日 03時00分

昨年導入の徳島県では…

徳島県で行われた大会から。審判の左後方に手動のカウンターが見える。控え審判の記録に基づきチームの父母が操作する(徳島県軟式野球連盟・十川佳久理事長撮影)

 ことしから全国大会で導入される見込みの、学童軟式野球「球数制限ルール」。それにさきがけ、徳島県では昨年から「ひとり1日70球まで」のルールを学童大会で採用している。同県軟式野球連盟と、医師や理学療法士らでつくるNPO法人「徳島みらいネットワーク」が手を組み、ルールを制定した。
 2012年に日本臨床スポーツ医学会が提唱したガイドラインは、学童投手の1日の投球数上限を50球としている。一方、全日本軟野連が全国大会でカウントした1試合平均は117球。ひとり50球では、1試合に3人以上の投手が必要となる計算だ。選手数が不足がちなチーム事情にも配慮し、「70球」に決まったという。
 昨年1シーズンにわたり、県内の5大会で適用。攻撃では良い投手に対し“待て”のサインが増えたり、守る側は相手上位打線にはエース、下位打線には2、3番手をと頻繁に投手交代するなど、想定された作戦面の変化はあったという。同県軟野連の十川(そがわ)佳久理事長はさらに「コールド寸前の試合が、投手交代によって大逆転、という展開の試合も数試合はありました」と続けたが、「全般的に見れば、従来と同じ“野球”のゲーム性に収まっていた印象です」とまとめた。
 8月に同県軟野連主催で行われた「阿波おどりカップ全国学童軟式野球大会」に東京代表として出場した江戸川区・葛西ファイターズの藤田武司監督は実際に70球ルールを体験した。「投手起用には気を使いましたが、違和感はなかったですよ。子供たちには良いルールだと思います」と肯定的な意見だ。
 再び十川理事長-。「導入前から、反対意見は聞こえてきました。いまも、今後も言う人はいるでしょう。大会後にアンケートを採り、メリット、デメリットも論じました。ただ、子供たちにはあくまで野球の楽しさを教えるのだという“選手ファースト”で考えれば、マイナスではないと言い切れます。反対意見を押し切って始めるのは勇気がいりますが、やって良かったかな、と思いますよ」 (鈴木秀樹)

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