耳の不自由な子の英語学習支援にルビふり教科書 福井県内の教員有志が作成 今春めどにネットで公開

2022年2月10日 12時00分
 耳の不自由な子どもたちの英語学習に役立ててもらおうと、福井県内の教員ら有志が中学校の英語の教科書に片仮名で単語の読み方を書いた「ルビふり教科書」の作成を進めている。完成した分は今春にもインターネットで公開する予定だ。現在の教科書にルビはなく、音を聞き取りづらい子どもたちが英文を読んだり、単語を発音したりする際に読み方が分からないことが課題となっていた。(波多野智月)

ルビをふった教科書=羽柴直弘教諭提供

◆「驚くほど生徒の反応が変わった」

 「bothはボゥス?ボース?」「スチューデントとストゥーデントはどっちが自然かな」
 1月中旬、福井市のコミュニティーセンター「インターナショナルクラブ」に有志が集まり、教科書の英文を見ながら検討を進めた。naturalは「ナチュロゥ」、greatは「グレイトゥ」。教科書の発音記号に近くなるよう、読み方の表記を決めていく。

中学1年生向けのルビふり教科書を手にする羽柴教諭=福井市の県立ろう学校で

 耳の不自由な子どもたちが英語を学ぶ際に壁となるのが発音だ。単語の読み方が分からず、喉の奥で発音する場合もあるため、唇も読みづらい。中心となって進める福井県立ろう学校の羽柴直弘教諭(33)は「学習に消極的になったり、苦手意識につながってしまったりする場合もある」と話す。
 羽柴教諭は昨年の夏休みを利用して、usefulは「ユースフル」などと中学1年生向けにルビふり教科書を自作し、2学期から授業で使い始めた。「黒板に板書していた時と比べて、驚くほど生徒の反応が変わった」。以前は英文を読むよう指示しても下を向いてしまった生徒が声を出すようになり、大きな声で英語の歌も歌えるようになったという。

◆教員の負担軽減、授業の効率化にも

 そこで昨年9月、福井、石川、富山、新潟4県の聴覚障害のある子どもが通う学校6校の教員10人を対象に、ルビが必要かどうかアンケートした。9人が「英語教材にルビがあった方が良い」と回答。理由として「発音の指導がしやすい」「生徒が自宅学習で発音を確認しやすい」「会話などコミュニケーションを重視した授業ができる」といったことを挙げた。
 ほとんどの教員が教科書に自分でルビを振ったり、黒板に読み方を板書したりしており、教員の負担増や授業効率の悪化につながっていることも明らかになった。福井県立ろう学校の生徒を対象にしたアンケートでも、全員が単語にルビを振ったプリントの配布などを希望した。
 現在は県内の英語講師などが協力し、中学2年生の教科書で作業を進めている。4月にも同校で使い始める計画で、今春をめどに同校のホームページに1、2年生分をアップロードし、誰でも閲覧できるようにする。羽柴教諭は「学習に困っている子どもたちや、指導に悩む教員の力になりたい」と話している。

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