計画から消えた「汚染水ゼロ」「原子炉建屋解体」 見えない廃炉の最終形 東京電力福島第一原発

2022年2月11日 06時00分
 東京電力福島第一原発事故は3月11日、発生から11年となる。この間、東電と政府の廃炉計画から2つの目標が消えた。「汚染水の発生ゼロ」と「原子炉建屋の解体」。廃炉の核心が抜け落ちた収束作業は、そのゴールが今も描かれていない。(小野沢健太)

事故収束作業が続く福島第一原発。上部の鉄骨がむき出しの1号機(左上)から右に2号機、3号機、4号機と並ぶ=福島県大熊町で、本社ヘリ「おおづる」から

◆汚染源の地下水流入止められず

 「スケジュール通りに進めたい」。東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は、1月27日の記者会見で強調した。来春に予定する原発でたまり続ける汚染水を浄化処理した水の海洋放出に向け、原子力規制委員会の設備審査は週1回の過密日程で進む。3月中には終わる見込みで、処理水を流す海底トンネルの工事が控える。
 東電は当初の廃炉計画で「汚染水の発生ゼロ」を目標に掲げていた。しかし、2019年の計画改定で消えた。汚染水の発生量は事故当初の3分の1程度まで減ったものの、大量の地下水が汚染源である原子炉建屋にどのように流入しているのか分かっていない。
 地下水流入を止めるという触れ込みで導入された凍土遮水壁も、効果がはっきりしないまま。規制委から建屋止水の方向性を示すよう要求されても、東電は応えず、来春にタンクが満水になると強調し続けて、政府が海洋放出を決めた。
 処理水放出を始めれば、汚染水の発生が続いても浄化処理して放出できるため、東電と政府が「汚染水ゼロ」の目標を急いで復活させる必要がない。ただ、汚染水がゼロにならない限り、浄化、保管、放出のプロセスが延々と続く。

◆核燃料取り出し技術や保管も、道険しく

 さらに不透明なのは、溶け落ちた核燃料(デブリ)とそれが残る原子炉建屋をどうするかという問題だ。
 1号機原子炉格納容器の内部調査では、9日に水中ロボットが撮影した容器底部に、溶けた何かが固まったような大量の堆積物が映っていた。核燃料があった圧力容器真下に近い場所で、デブリの可能性が高い。
 メルトダウン(炉心溶融)した1〜3号機で、1号機だけはデブリの堆積状況が確認できていなかった。6種類のロボットを使う詳細な調査にこぎつけ、ようやく前進の兆しが見えた。
 しかし、デブリ回収の道のりは長く、険しい。最初にデブリを取り出す2号機では、22年内に試験的な採取が始まる計画だが、ロボットで1グラムずつ数回採取するにとどまる。
 デブリという高線量の放射性廃棄物の総量は、3基で計880トンと推計。取り出しに30年間かけるとしても、1日80キロずつ取り出さないと終わらない。高い放射線が阻む環境で、全量を取り出せる技術だけではなく、どのように保管するかの具体策もない。

◆廃炉は通常、更地化を指すが…

 東電と政府は、41〜51年に廃炉を終える計画を維持するが、当初あった「原子炉建屋の解体」は13年に消えた。廃炉は通常の原発では更地化することを指すが、福島第一ではどのような状態なのだろうか。
 「最終的にどうするかは地元自治体と相談して決めていくことになろうかと」。東電廃炉責任者の小野明氏は会見でこう答えたことがある。東電と政府は、終わる時期だけは変えていない廃炉の最終形を、いまだ検討すらしていない。

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